極限まで物を減らす“ミニマリスト”という暮らし方が注目されている。「物欲はないの?」「きっかけは?」「不便じゃない?」…。つきない疑問をぶつけてみた。
ゆるりまいさんは宮城・仙台在住のイラストレーター。ミニマリスト歴約10年。物を減らした経験を描いたコミックエッセイ『わたしのウチには、なんにもない。』(KADOKAWA刊)が大ヒットに。
高校時代に失恋した際、思い出の品を全て処分した爽快感から“捨て魔”に。物を捨てられない家族からは煙たがられ、自分の物を減らすのみだったが、2011年の震災を経験して“持たない暮らし”に拍車がかかったという。
「家が全壊し、大量の物が落ちてきて“凶器”になりました。さらに、物が多すぎて必要な物が見つからない。命を守るためにも物が少ない暮らしの大切さを家族も実感し、重い腰を上げてくれました」(ゆるりまいさん・以下「」内同)
だが、新居に置く物を選別する際には、家族とケンカが絶えなかった。
「物を手放すことは粗末にすることではない、自分の手に負える量に制限することで愛着が増して物は生かされる、と説明を重ね、理解してくれるようになりました」
唯一多めにあるのは、職人さん手作りの自然素材のかご。子どものおもちゃ入れとしても活躍。「ぬくもりがあり、部屋が殺風景になりません」。
ストック類は最小限なので、収納棚の中もガラガラ。「家電の説明書など、ネットで見られる紙類はほとんど処分しました」。
無印良品の『ポリプロピレン頑丈収納ボックス』には猫のえさを収納し、脚立やイスとしても活用。「何通りにも使える物は持たない暮らしに必須」。
汚部屋時代のファッションは、ファーや古着など個性的なものばかり。夫のゆるりさんの第一印象は“マタギ”だったほど。「物を減らしたら、そんな服装で家にいると落ち着かない。今では白シャツ率高めです」。
震災の難を逃れたカレー皿を新居に越してから捨てたところ、母が激怒! 「皆から不評のお皿でしたが、震災後は母の心の支えだったんです。以後、共有の物を捨てるときは確認するようにしています」。
バスタオルをやめて、フェイスタオル2枚で体を拭くことを提案。「梅雨でもすぐ乾くとすすめ、1か月試してもらったところ“意外といけるわ”と母。習慣を変えるときはお試し期間を設けるとスムーズです」。
【持ち物リスト】
本や雑誌 0冊
アルバム 0冊
アクセサリー 1個
鍋 3個
フライパン 2枚
平皿(大人用) 3種×4人分
コップ 11個
ボウル 0個
バスタオル 0枚
※女性セブン2016年7月7日号