「スマイル・クイーン」の愛称で知られる韓国ゴルフ界の人気者が、日本ツアーでも注目されている。キム・ハヌル、27歳。韓国ツアー時代から人気は絶大で、試合会場には「ハヌラー」と呼ばれる追っかけが多数押しかけていた。現在は日本でもハヌラーが急増しており、日本ツアー参戦2年目にして、押しも押されもせぬ人気選手の仲間入りを果たしている。
ゴルフの実力は折り紙付きだ。今季は開幕戦から3試合連続でトップ10入りし、4試合目には早々と優勝(日本ツアー2勝目)を飾っている。安定したゴルフで、賞金女王争いではイ・ボミや申ジエと試合ごとにトップが入れ替わるデッドヒートを演じている。6月中旬に行なわれた「サントリーレディス」(兵庫・六甲国際GC)でも、トップと2打差の5位につけた。
彼女の魅力は170cmの長身から繰り出すロングドライブ(ドライビングディスタンス6位=251ヤード)だ。これを武器に今季のイーグル奪取数は5個。女子ツアーの年間記録は11個であり、最多記録更新の期待がかかっている。だが、意外にも本人が得意なのは「100ヤード前後のアイアンショット」なのだという。
「日本のコースは正確なショットでなければチャンスを作るのが難しい。ドライバーからアイアンまでコンパクトなトップと、力まないスイングを心掛けています」
その言葉通り、アイアンの精度とアプローチの上手さを示すパーセーブ率(89.3%)とリカバリー率(76.9%)はともにランク2位。ストロークを争う試合で最も重要な平均ストローク(70.64)も3位と安定している。これがキム・ハヌルの強さを引き出しているのだ。
◆キム・ハヌル:1988年12月17日、韓国・京畿道生まれ。27歳。建国大卒。12歳でゴルフを始め、韓国ツアーでは2011年、2012年の賞金女王に輝き、通算8勝。2014年に日本ツアーのQTに挑戦し、14位で出場権を獲得。2015年から本格参戦し、9月の「マンシングウェアレディース」で初優勝を飾る。1年目は賞金ランク23位でシード権を獲得。2年目の今シーズンは3月の「アクサレディス」でツアー2勝目を挙げた。170cm、58kg。家族は両親と弟。
撮影■藤岡雅樹 取材・文■鵜飼克郎
※週刊ポスト2016年7月8日号