歯医者を選ぶ際に、活用の機会が増えているのがインターネット検索だ。しかし、小澤俊文・おざわ歯科医院院長は、「ウェブだけではなかなか歯科医の技術格差まではわかりません。ホームページにはいいことしか書いていないからです」と注意を促す。
近年は、ネット上の口コミをもとに地域の歯医者をランキング化したサイトもあるが、それも鵜呑みにはできない。
「お金を払うといい評価の口コミを書き込んでランキングを上げてくれる業者もいるんです。当院にもそうした業者からのセールスがありますから」(同前)
いわゆる「ステマ(ステルスマーケティング)」を代行するセールスが数多くあることは、筆者が本企画を進める中でも実感できた。歯科医院に取材依頼をすると、
「取材? どうせお金がかかるんでしょ。払う余裕がないからいいですよ」
といった反応が複数箇所で返ってきた。“カネをもらっていい記事を出す”というビジネスがこの業界で成り立っている証左でもある。
実際、取材班のメンバーがランキングサイトで自宅近くの歯科医院の口コミを調べたところ、同じアカウントがたった7か月のうちに違う歯医者の口コミを18件も書き込んでいる例を発見した。通う先々の歯医者がよほどひどかったのかと思いきや、評価はすべて最高の「★5つ」だった。小澤院長はこういう。
「たとえネットで見て“よさそうだ”と思っても、少なくとも近所でそのクリニックに行ったことのある人の話を聞くなどして、複数の歯科医院を比較検討してみるべきです」
●レポート/岩澤倫彦(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2016年7月8日号