6月15日は中国の最高指導者、習近平国家主席の63歳の誕生日だった。インドのモディ首相は中国語版ツイッター「微博(ウェイボ)」に誕生日を祝うメッセージを送るなど、この日は習氏の誕生日であることは国際的にも知られているが、中国メディアはだんまりを決め込んだ。
モディ氏が習氏に送ったメッセージは「習主席のますますのご健勝をお祈りします」というもので、モディ氏と習氏が握手している写真が添付されていた。
しかし、これについて、国営新華社通信や党機関紙「人民日報」など官営メディアは一切、習氏の誕生日について報じなかった。
習氏の誕生日が6月15日であることは海外の各種メディアなどの報道によって、広く知られている。モディ首相ばかりでなく、他の要人も電報を送っていると伝えられる。
では、なぜ人民日報などは習氏の誕生日やモディ首相のメッセージなどについて沈黙を守っているのか。
香港の中国政府関係者によると、それは中国共産党が党高官の誕生日を公表することを禁止しているためだ。これは毛沢東主席が1949年の新中国建国後の党中央委員会総会で、幹部の誕生日だろうと、お祝いはしてはならないと発言したことがもとになっているという。
しかし、実は党機関は習氏に大きな贈り物をして誕生日を祝っていることが分かった。かつての最高指導部の一員で腐敗問題で党籍をはく奪された周永康元・政治局常務委員の妻と息子が腐敗事件に関与し、この日の裁判でそれぞれ懲役9年と18年の実刑判決が下され、大きく報道されたことだ。
いったいなぜ、この件とお祝いが関係したのか──習氏にとって、周氏は政敵であり、上海閥の大幹部だっただけに、来年の党大会をにらんで、水面下で激しい権力闘争を繰り広げている習氏にとって、上海閥の追い落としにつながるニュースは嬉しい誕生日祝いとなったはずだ、と米国に拠点を置く華字メディアは伝えている。