衆議院議員の鳩山邦夫氏が6月21日、67才で亡くなった。死因は十二指腸潰瘍。ストレスが原因となることも多いという十二指腸潰瘍だが、実際にはどうなのだろうか。
十二指腸潰瘍は、一度治っても再発しやすい病気としても知られる。東新宿こころのクリニック院長の中山保世さんは「せっかく治療してもストレスが原因で再発することもあります」と話す。
「ストレスによって自律神経のバランスが崩れ、胃液の分泌量が多くなり十二指腸潰瘍の再発を繰り返すことがあります。実際、胃薬をのんでも根本的には治らずに内科の医師の紹介で心療内科を受診されるかたも少なくありません」
ただ、ストレスが原因といわれても、どうすればいいのだろうか。仕事や介護、子育て、夫婦関係など、私たちの生活には逃げたくても逃げられない“ストレスの種”が多い。
「個人が抱えているストレスの原因をすべて取り除くことはできませんが、自分なりのストレス解消法を見つけ、自律神経を整えることが大事です。病院では治療のために抗うつ薬などを処方することもありますが、大事なのは運動や早寝早起き、太陽の光を浴びるといった健康的な生活を心がけること。友達に悩みを相談するのもいいですね。また、どんなことも“適度”にしましょう。運動のしすぎも逆にストレスになります」(中山さん)
一部では鳩山氏が炭水化物の摂取を控える「糖質制限ダイエット」をしていたことも原因ではと報じられた。糖質制限ダイエットでも知られたノンフィクション作家の桐山秀樹さん(享年62)が今年2月に急死したこともあり、「糖質制限が十二指腸潰瘍を悪化させたのではないか」と話題になったが、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎さんは「関係ない」と言い切る。
「糖質制限のせいで多少栄養状態が悪かったとしても、命に影響しません。2か月間食事をとれずにやせていたひどい潰瘍の患者さんも、内服薬で回復しました」
ただし偏った食生活は原因の1つ。しおや消化器内科クリニック院長の塩屋雄史さんが言う。
「お酒に含まれるアルコールやコーヒーのカフェイン、香辛料といった刺激物は胃酸の分泌量が多くなり十二指腸の粘膜が傷つく可能性があります。お酢や柑橘系の果物も酸が強いので、摂りすぎはよくありません。もちろん適度の摂取なら問題ないですし、酢もそのままではなく“りんご酢”のように薄めて飲むなら大丈夫です」
前かがみになる猫背の姿勢も、お腹の容量が小さくなるため、同時に胃腸の容量自体も小さくなり、普通の食生活を送っていても胃腸に負担をかけやすい。誰もがかかりうる重症化すると危険な十二指腸潰瘍。前出の大竹さんは警鐘を鳴らす。
「医師に処方されてのむならまだしも、生理痛や頭痛がつらいからといって、自分で痛み止めの薬を多量にのんでいる人、脳梗塞や心筋梗塞の薬をのんでいる人は特に注意が必要です。上腹部の痛みや海苔の佃煮みたいな便が出たらすぐに受診してください」
やはり、早期発見が大事。改めて体の異変に耳を傾けてみよう。
※女性セブン2016年7月14日号