「大本命・円楽」の下馬評を覆し、『笑点』新司会者に選ばれた春風亭昇太(56才)。発表会見では「消去法」だったと紹介され、大喜利でも「消去法で選ばれた司会者なんて、嫌だ」といじられたが、初司会の回はなんと視聴率28.1%。1996年に現在の放送時間(毎週日曜午後5時30分~6時)になって以来、最高記録を叩き出した。
この大胆な起用法。諸先輩方からの反発が、さぞかし大きかったのではと思いきや…福田一寛プロデューサーが明かす。
「私を含めたプロデューサーや演出陣から“ちょっとお話があるんです”と切り出すと、皆さんは少し不安な表情をされたように見えました。自分が司会者になるかもしれないというよりは“もしかしてクビ?”“回答者を後進に譲ってほしいと宣告されるのかも”と思っていたのかもしれません。あくまでぼくの主観ですが(笑い)」
「現笑点メンバー以外から選ばれるのでは?」という報道も一部であったが、「現笑点メンバーもそれ以外のかたも問わず、いろいろな可能性を考えた結果、昇太さんに決定しました」(福田さん)というから、“落下傘”司会者もあり得たのかもしれない。
「ぼくは2015年12月から笑点のプロデューサーになったんですが、それまでは一視聴者として『次の司会は円楽さんだな』と思っていました。でも、番組にかかわるようになると、円楽さんは表で仕切るのもうまいし面白いが、“腹黒キャラ”として回答するほうが、もっと面白いし、余人をもって代え難い。小遊三さんには下ネタがあるし、木久扇さんのボケ回答は捨てがたい。好楽さんの“貧乏・つまらない”自虐も必要。そうやってあらゆる人をシミュレーションしていくと、対応力が高い昇太さんの場合が最も適しているのでは、と思いました」(福田さん)
「消去法」って、本当だったのか…。しかし『笑点』をこよなく愛するコラムニストのペリー荻野さんは、昇太の司会について「ずっと“アリ”だと思っていた」そうだ。
「10年くらい前に『BS笑点』で若手落語家の大喜利で司会をしていたんですが、すごくうまかった。司会には全体をまとめて、誰に対してもちゃんと返せる才能が必要。昇太さんはBSの頃から見込まれていたんじゃないかな」(ペリーさん)
昇太のテンポのいい司会ぶりは大好評で、高視聴率に大いに貢献しているのは確か。
「歌丸さんは初期メンバーで重鎮だからみんなリスペクトしていたけど、昇太さんに対しては回答者がツッコミ放題。嫁がいない話で延々といじるわ、歌は歌うわ踊りだすわ。今後も昇太さんと回答者のやりとりがどんどんパワーアップしていくでしょうね」(ペリーさん)
※女性セブン2016年7月14日号