ライフ

インプラントが副鼻腔突き抜けた患者に歯科医「よくある」

歯科医の言い放った一言に唖然

 都内在住の50代男性は10年前、歯周病が進んで上の左右の奥歯がぐらつくようになった。

「近所の歯医者からは、抜歯しなければ、周囲の歯もダメになるので、入れ歯かインプラントにしたほうがいいといわれたんです。それで妻がインターネットで〈インプラント経験豊富〉と謳う歯科クリニックを探してくれました」

 クリニックでは、すぐ翌週にインプラント手術の予約が組まれた。歯科医からリスクの説明はなかったので不安はなかったという。

 手術は3回に分けて行なわれ、上の左右の奥歯に各2本、前歯に1本、チタン製のネジのようなものを埋め込まれた。手術翌日に口の中が大きく腫れ上がって痛みが走ったものの、数か月後にはインプラントを植えた奥歯でしっかり噛めるようになった。手術代は約150万円。満足できる結果に思えた。

 しかし、6年が経った頃、異変が起きた。

「ひどい頭痛が頻繁に起き、鼻の奥から強烈な悪臭が漂うようになったのです。大学病院の耳鼻科でCT画像を見た医師から“左右の副鼻腔にインプラントが突き抜け、強い炎症が起きています”と告げられました。それは驚きましたよ。インプラントは成功したといわれていましたから」

 すぐに膿を摘出する手術を受け、炎症は治まったが、結局インプラントを抜き、150万円は水泡に帰した。

 男性はその後、最初に手術を受けた歯科クリニックを訪ねた。そこで返ってきたのは予想外の言葉だった。

「インプラントが副鼻腔に突き抜けていても、問題ありません。よくあること」

 歯科医は平然とそう言い放ち、話を切り上げた。謝罪もなく、男性は再治療にかかった費用50万円を全額自己負担した。

「怒りというより、無力感ですね。複雑な気持ちが今も続いています。クリニックを探した妻も責任を感じてしまい、夫婦仲も気まずい。上の奥歯はインプラントを抜いたままで、硬いものを噛む時は不便です」

●レポート/岩澤倫彦(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2016年7月8日号

関連キーワード

トピックス

「複数の刺し傷があった」被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと、手柄さんが見つかった自宅マンション
「ダンスをやっていて活発な人気者」「男の子にも好かれていたんじゃないかな」手柄玲奈さん(15)刺殺で同級生が涙の証言【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場(時事通信フォト)
「日本人は並ぶことに生きがいを感じている…」大阪・関西万博が開幕するも米国の掲示板サイトで辛辣コメント…訪日観光客に聞いた“万博に行かない理由”
NEWSポストセブン
ファンから心配の声が相次ぐジャスティン・ビーバー(dpa/時事通信フォト)
《ハイ状態では…?》ジャスティン・ビーバー(31)が投稿した家を燃やすアニメ動画で騒然、激変ビジュアルや相次ぐ“奇行”に心配する声続出
NEWSポストセブン
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」で初の朝ドラ出演を果たしたソニン(時事通信フォト)
《朝ドラ初出演のソニン(42)》「毎日涙と鼻血が…」裸エプロンCDジャケットと陵辱される女子高生役を経て再ブレイクを果たした“並々ならぬプロ意識”と“ハチキン根性”
NEWSポストセブン
4月14日夜、さいたま市桜区のマンションで女子高校生の手柄玲奈さん(15)が刺殺された
「血だらけで逃げようとしたのか…」手柄玲奈さん(15)刺殺現場に残っていた“1キロ以上続く血痕”と住民が聞いた「この辺りで聞いたことのない声」【さいたま市・女子高生刺殺】
NEWSポストセブン
山口組も大谷のプレーに関心を寄せているようだ(司組長の写真は時事通信)
〈山口組が大谷翔平を「日本人の誇り」と称賛〉機関紙で見せた司忍組長の「銀色着物姿」 83歳のお祝いに届いた大量の胡蝶蘭
NEWSポストセブン
20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
朝ドラ『あんぱん』に出演中の竹野内豊
【朝ドラ『あんぱん』でも好演】時代に合わせてアップデートする竹野内豊、癒しと信頼を感じさせ、好感度も信頼度もバツグン
女性セブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン