「あなた、左利きなんですね?」――初めて会った相手が左利きだったら、この言葉を必ずといっていいほど言うはずだ。そんなに多くはないけど、周りに数人はいる左利き。いったい世間にどのくらいいるのだろうか。
『左対右 きき手大研究』(化学同人刊)や『選ばれし民 左利き』(インフォレスト刊)著者で関西福祉科学大学学長・八田武志さんは言う。
「ざっくりいうと1割強です。いつの時代のどこの地域、国でもこの割合は変わりません」
八田さんが1993年に国内の大学生と専門学校生1700人にした調査によると、左利きは、男子12.8%、女子7.8%だった(両利きも含む)。
「利き手を決める要因は諸説あります。胎児期に左脳を損傷して右脳に依存したことによる『脳損傷説』や親や血縁関係による『遺伝説』などです。さらに、なぜ1割という一定数なのかは、謎なんです」(八田さん)
かつて、左利きは軽蔑されてきた歴史もあった。
「明治、大正、昭和初期は、左利きの子供は矯正されました。女性はお裁縫や料理などを左手で行うことは考えられなかった。軍国主義の時代は、敬礼を左でやってしまったら、とんでもない無礼とされていました」(『左ききのトリセツ』〈グラフ社刊〉著者の實吉達郎さん)
いろいろな個性が尊重される社会になっていくにつれて、左利きの地位は向上していった。
「19世紀末にイギリスで『両手きき運動』が起こり、左利きに注目が寄せられ、次第に左利きが認知されるようになっていきました。日本では1980年代頃から、左利きの子供を親が矯正しなくなりました」(八田さん)
左利きの著名人にはトーマス・エジソン、マリー・キュリー、夏目漱石、王貞治、バラク・オバマ、レディー・ガガなどがいる。
※女性セブン2016年7月14日号