1966年5月の放送開始から50周年を迎えた人気演芸バラエティ番組『笑点』(日本テレビ系)。第1回放送から出演し続け、5代目司会者を務めていた桂歌丸(79)が5月22日放送の第2514回をもって勇退した。6代目司会者には春風亭昇太(56)が就任。新メンバーに林家三平(45)が加入するなど、大幅なリニューアルが実施された。(2016年7月3日更新)
桂歌丸の健康状態が悪化
2015年6月に背部褥瘡と腸閉塞で入院
「近年、歌丸師匠の体調が芳しくないため、局としても“そろそろ本気で次を考えなければいけない”と、秘かに新司会者候補の検討に着手しました」(日本テレビ関係者)。2015年6月、歌丸は背部褥瘡(床ずれ)で入院。手術は成功して退院したのも束の間、すぐに腸閉塞のため再入院した。2014年も慢性閉塞性肺疾患と肋骨骨折、帯状疱疹などで入退院を繰り返していたこともあり、周囲は不安を募らせていた。
関係者「司会を続けるのは難しいのではないか」
歌丸は2014年から罹患している慢性閉塞性肺疾患の影響で呼吸もままならないという。「高座にあがる30分前から舞台袖で酸素ボンベを使って呼吸を整えていますが、それでも舞台で咳きこんでしまうこともあり、これ以上、司会を続けるのは難しいのではないかという意見も少なくありません」(笑点関係者)
4月22日には歌丸本人が「(降板について)そろそろ考える時期が来ている」
歌丸の事務所は「全く問題なく元気にしています」というが、4月22日には会見で歌丸本人が「(降板について)そろそろ考える時期が来ているかなという気がしている」と話した。「最近の歌丸師匠は足腰が弱り、普段は車椅子です。『笑点』の高座にあがるときも付き人の手を借りています。正座も辛いというので、実は正座しているように見える『補助椅子』を使っているのです」(笑点関係者)
4月30日、桂歌丸は体調不良を理由に“5月22日の生放送を最後に番組から勇退”することを発表した。
次の司会者を巡って様々な情報が錯綜
有力候補として名前が挙がったのは木久扇、小遊三、円楽の3人
歌丸引退ショックが続く中、5月22日の放送で次の司会者の名前が明かされることになる。「古くからのファンは変化を嫌うので、『内部昇格』が既定路線だといわれています。現在出演中の笑点メンバーの中から指名されるということです。ということは、木久扇、小遊三、円楽の3人が筆頭候補でしょう」(テレビ局関係者)
本命視されたのは三遊亭円楽
2人の関係を考えても「歌丸のあとは円楽しかいない」というのが落語界の共通認識だ。「歌丸師匠は先代の円楽師匠が亡くなる際、『あとは頼む』と託されていたそうなんです。その『あと』というのは、笑点の次の司会を頼む、というだけでなく、『楽太郎(現在の円楽)のことも頼む』という意味だと歌丸師匠は受け取ったようです。だから、『円楽師匠から受け取った司会を、円楽に返す』という感覚なのでしょう」(落語関係者)
円楽の司会候補には反対の声も出ていたという
「円楽既定路線」を快く思っていない関係者は少なくはない。大喜利メンバーは「落語芸術協会」「落語協会」「円楽一門会」の3団体のいずれかに所属している。「司会者は『各団体順番に』という暗黙のルールがある。前回は先代円楽から歌丸、つまり円楽一門会から落語芸術協会へと移った。ならば次は落語協会のはず。そのため、不満の声があがり、『いっそのこと外部からの招聘が良いのでは』という意見まで出ています」(日テレ関係者)
5月22日、6代目司会者は春風亭昇太と発表
6代目司会者は春風亭昇太
国民的関心事となった『笑点』の大喜利新司会者発表。結果は春風亭昇太というサプライズ人事だった。当の昇太本人も司会を打診されたときは面食らったという。「司会の話を頂いたときは、ドッキリじゃないかと思って周りにカメラがないか探してしまいましたよ。発表後、知人や友人からのメールとか電話が殺到して『笑点の司会とは、こんなにすごいことなのか』と後から実感しました」
「昇太を笑点司会に推薦した理由」桂歌丸が明かす
昇太を新司会者に推薦したのは、他でもない前司会者・桂歌丸だった。その理由を本人が明かす。「まず若さ、明るさ。そして即興力があるわけですよ。あの方は新作落語をやりますよね。古典も“昇太流の古典”でやる。同じネタでも昇太さんがやるとガラッと違ってきちゃうわけです。笑点はこれから何十年も続けてもらいたい。そのために若い昇太さんを推薦しました」
「本命・円楽」はカモフラージュに使われた
スポーツ紙芸能デスクが嘆く。「今回は本当に『やられた!』という感じです。会社の上層部も含め、誰も昇太情報は掴めていなかった。当然、本命は円楽でした。歌丸師匠にインタビューをした際には、『2人一緒で』と円楽が付いてきた。しかも甲斐甲斐しく歌丸師匠の車椅子を円楽が押して。あたかも自分が後継者であるという印象を取材した記者に植え付けていた。そのインタビューでも『新司会者として望まれるのであれば……』とやる気満々だったそうですから(苦笑)。今思えば手の込んだ芝居だったわけですよ」
司会人事 歌丸、円楽、昇太が隠し通せて満足気
「あの人(円楽)の言ったことを信用するからいけないんですよ。あの人の言ったことは全部裏へ裏へと取らなきゃダメですよ、ウェッヘッヘ。そもそも次が昇太だということは、誰も知らなかったですからね。知っていたのは私だけ」(歌丸) 「発表のだいぶ前からメンバーの皆さんには、(私が新司会者だと)連絡は入っていたはずです。だから円楽師匠が『次は俺じゃないか』みたいなことを言っていたのは、わざとやってくれたんだろうと思いますよ」(昇太) 「ずっと(昇太が司会だと)黙ってるのは辛かったけど、最後は面白くなってね。ふざけて『次の司会です』とか言うとウケるし(笑い)」(円楽)。微妙に食い違う部分はあるが、3名とも最後まで隠し通した満足感に溢れた受け答えだった。
新加入メンバーにも様々な憶測が飛び交った
春風亭小朝、春風亭一之輔、笑福亭鶴光らの名前も
『笑点』の座布団利権 地方営業のギャラが桁違いに
「大喜利メンバーになれば、年収が数千万円になるといわれています。『笑点』に出演することで全国に名前が売れ、地方営業のギャラが桁違いになるからです。大喜利メンバーではない落語家の場合、真打ちでも10万~20万円ですが、メンバーになると50万~60万円に跳ね上がる」(落語関係者)
5月29日、新加入メンバーは林家三平と発表
新メンバー林家三平。局側の強い要請で、発表当日の生放送まで三か月間も妻にも母にも内緒にしていたという三平に、カメラは密着。「お袋は怒っているに違いない」とビビる三平だったが、帰宅して玄関を開けたとたん、母の海老名香葉子さんは「わああああ」と大喜び。妻の国分佐智子は涙ぐむというリアルな展開に。そして三平は亡き父・先代林家三平の仏壇に神妙な面持ちで報告する…。この様子はすべて6月5日放送の番組で放送された。玄関開けたら日本一有名(かもしれない)嫁姑カヨコとサチコが大興奮。こんな画ができるのは、林家三平以外にいない。(コラムニスト・ペリー荻野氏)
歌丸の引退とこれからの『笑点』
桂歌丸は、5月22日の生放送で番組を勇退。「終身名誉司会」に就任した。
桂歌丸の夢は客席の一番前で『笑点』の公開収録を観ること
今後の人生について聞いてみると、歌丸節が炸裂した。「あたしが落語以外に何をやるんですか。今さらオペラやったってしょうがないでしょ。ただ、笑点の前に『もう笑点』っていう5分番組がありますよね。それだけは続けさせてもらいますけどね」「今のいちばんの望みはね、いっぺん客席の一番前で、笑点の公開収録を観たい。お客さんに混じって、知ら~ん顔して。もちろんメンバーの皆に黙って(笑い)」。昇太やメンバーからしたら堪ったもんじゃない。
歌丸卒業 歌丸との結婚生活は『笑点』とともにあったと妻
桂歌丸の妻 夫の最後の『笑点』出演日は初めて観に行くかも
リニューアル後、2週にわたって視聴率25%以上をキープし絶好調
5月22日の放送では新司会者が昇太になるという公表だけに留まり、次週に持ち越しとなった。これも、日テレの作戦のひとつだろう。「新司会者発表でひとヤマ、次週に新回答者発表でひとヤマと二つのヤマを作ったことで、2週にわたって25%以上をキープできた。ただ、新回答者の林家三平は事前の予想通りという声もあり、それほどの意外性はなかった。そこに、林家たい平の『24時間テレビ』のマラソンランナーというサプライズを持ってきた」(芸能記者)
昇太、三平の抜擢は番組発展のための「壮大な計画」
「スタート時には、若手落語家の活躍する番組だった『笑点』は、今や伝統芸能の域になりつつある。昇太司会就任と45歳の三平加入は、51年目を迎え、100周年を目指す『笑点』の末永い継承への布石であることは間違いない。100周年の時には、今、一番若い三平も90代半ば…。そう思うと、先は長い」(コラムニスト・ペリー荻野氏)
『笑点』 噂の真相を探る
笑点のギャラは回答者40万円、司会者80万円!? 昇太を直撃
「各出演者のギャラは相対契約で詳細はわからないが、若手は1回30万~40万円ほどといわれています。司会者時代の歌丸師匠は70万~80万円ほどだったと聞いている」(日テレ関係者)。「師匠、1回の『笑点』出演で40万円貰っているって、本当ですか?」と切り出すと、昇太はギョッとして「ないないないない!」と両手を大きく横に振った。「そんなに高給じゃありませんよ!もちろん『笑点』に出たおかげで他のお仕事が増えたんでありがたいんですが、あの番組自体はシステムが昔のままなので、お給料はそんなにいかないです」
笑点最大のタブー 大喜利の回答は放送作家が考えている?
「『笑点』の大喜利の回答は放送作家が考えている」──この噂を一度は耳にしたことがあるかもしれない。「10人前後の放送作家が集まってネタ出しをしているようです。その中から放送で使うお題を決め、翌週の会議までに、お題の“回答例”を考えてくるんです。それを各メンバーのパーソナリティーに合わせて振り分ける」(元スタッフ)。メンバーには放送作家の回答例に忠実なタイプと、そうでないタイプがいるという。「特にアドリブが多いのは林家木久扇師匠。というのも、どうやら回答例を覚えられないらしくて(笑い)。彼の鉄板ネタに『何て答えようとしたか忘れちゃった』というのがありますが、あれは“作り”じゃないんですよ」(日テレ関係者)
『笑点』噂の真相 三平採用はコネ?昇太が独身の理由は?
落語が本業の『笑点』メンバー 高座が一番面白いのは誰か
『笑点』メンバーの本業は「落語」である。では、今一番高座が面白いのは誰なのか──。『噺家のはなし』(小学館)の著者で落語評論家の広瀬和生氏は、「そりゃもう、春風亭昇太さんです。ずば抜けて一番ですよ」と即答する。「もちろん好みはあるでしょうが、私は笑点メンバーだけでなく、今の落語家の中で昇太さんがトップクラスに面白いと思っている。彼は新作落語が得意といわれますが、実は古典も面白い」。では、他のメンバーの高座はどうなのか。