ライフ

ひざ痛対策のグルコサミンやコンドロイチン 医師評価は二分

ひざ痛対策に有効なのは?

 ひざに“爆弾”を抱える中高年は多い。厚労省の調査(2008年「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について」報告書)によれば、加齢による「変形性膝関節症」、いわゆるひざ痛の患者は予備群含めて約3000万人と推計されている。

 ひざ痛が恐ろしいのは「これぐらいの痛みなら心配ないだろう」と放置して悪化させるケースが多いことだ。

 厚労省の国民生活基礎調査(2010年)では、「介護が必要になる理由」として、脳卒中(全体の21.5%)、認知症(15.3%)、高齢による衰弱(13.7%)に続き関節疾患が4位(10.9%)となっている。軽いひざの痛みを放置した結果、数年後に寝たきりになるという例は少なくないのだ。

 健康雑誌の特集やテレビCMなどで多く目にする「グルコサミン」や「コンドロイチン」などのサプリメントはひざ痛対策として知られるが、医師の評価が分かれている。

 コンドロイチンとグルコサミンは「ムコ多糖類」と呼ばれ、粘性があり関節の動きをスムーズにする働きを持つ。1990年代の欧米の医療現場では、サプリメントとして飲むことで関節まで行き届くとされてきた。

 2001年には「グルコサミン1500mgを1日1回3年間内服した結果、変形性膝関節症の症状による『関節の縮み幅』を、服用していない人の5分の1に食い止められた」という報告が医学雑誌『ランセット』に掲載された。

 一方で、アメリカ食品医薬品局(FDA)は「健康上の有効性を示す、または変形性膝関節症などの危険性を減らすほどの信頼できる根拠はない」と否定している。横浜市立大学大学院教授の齋藤知行氏はこう話す。

「多量に摂取しても大部分は便や尿から排泄されてしまうとの報告があります。その一方で欧州のリウマチ医の50%がこれらのサプリメントを推奨しているほか、米国の研究論文でもグルコサミンが血液の循環を高めて関節の炎症を抑える効果があるともいわれています。私は、患者が希望した場合には2~3か月服用して様子を見るようにアドバイスしています」

※週刊ポスト2016年7月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン