「大本命・円楽」の下馬評を覆し、新司会者に選ばれた春風亭昇太(56才)。初司会の回はなんと視聴率28.1%。1996年に現在の放送時間(毎週日曜午後5時30分~6時)になって以来、最高記録を叩き出した。
そんな『笑点』で座布団を運び続けて32年。78才の木久扇に次ぐ古株なのに、8月には還暦を迎えるのに、いまだに「山田クン」と呼ばれ続ける山田たかお(59才)。座布団運びだからこそわかる、笑点の裏側を語ってくれた。
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ぼくが座布団運びを始めた時の司会は、先代の5代目三遊亭圓楽。圓楽師匠は芸事に厳しい人で、先輩の借金ネタなど、人の悪口で笑いを取ると怒り出す。ぼくらにとっては神様みたいな人でした。
歌丸師匠は優しい人だけど、落語芸術協会の会長として、落語の現場では厳しかった。だからいい緊張感がありましたね。昇太くんやたい平くんなんて、最初は緊張して楽屋に入れなくて廊下にいたぐらいなんだから(笑い)。
昇太くんの司会? 早口だし、噛むから聞き取れないんだよ(笑い)。座布団を「持ってって」「取ってって」って何度も言うし。そうしたらいちばん端に座ってるたい平くんが、「ぼくが合図するから」って言ってくれたんです。
だけど、合図が来たと思って持っていったら、たい平くんが勝手に言っただけだった。そういうハプニングも昇太くんらしいね。
たい平くんの24時間テレビのマラソンも話題だけど、実はぼくも2006年の正月に笑点の企画で50km走らされたことがある。いわば先輩だね。5代目圓楽師匠が司会だった時に「雪の中、山田を裸で走らせたら面白いんじゃないか」なんて言うもんだから。
裸じゃなかったけど、特注の着物を着て、座布団かついで走りましたよ。今のたい平くんも、その時ぼくがお世話になったトレーナーさんについてトレーニングをしているみたい。
布団運びは楽そうに見えるけど、実は重労働。1枚3kg。それが汗や湿気を吸ってさらに重くなる。ギックリ腰も4~5回はやってます。司会者は「全部きれいにしちゃって」なんて気楽に言うけど、いっぺんに持てるのはせいぜい5枚が限度。
ぼくは座布団運びのために普段からダンベルで手首鍛えたり、スクワットをしたりしてますよ。座布団を運ぶタイミングはもう体に染みついてます。「間」の取り方がとにかく大事で、ぼく以外の人が座布団運びをやった時に「やっぱり山田クンじゃないと」と言われたこともありました。
5代目圓楽師匠から「山田クン、後を頼む」と言われ、歌丸師匠には「山田クン、ありがとう」と涙を浮かべられた。大変な座布団運びだけど、やってきてよかったな、と心から思うし、100年目を元気に迎えるためにも、いっそう体を鍛えようって元気が出て来るね(笑い)。
※女性セブン2016年7月14日号