オバさんは時に「ずうずうしい」と見られることもあるが、そのずうずうしさを人生に上手に活用している。そんなオバさんのずうずうしさ活用法について、ファッションプロデューサーの植松晃士氏が持論を展開した。
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皆さま、ご機嫌よう! 今回は私がもったいないと痛感するオバさん現象についてお話ししたいと思います。昔と比べ、女性が実年齢よりも若々しく見えるようになった今、あからさまに「オバさん」と呼ばれて、いい気持ちになるかたはほとんどいないはずです。
それは、オバさんという言葉の響きに、ずうずうしいとか、面倒臭がりやというニュアンスが含まれているからだと思うんです。私の周囲にリサーチした結果、オバさんの大きな特徴として真っ先にあげられたのは、“空気を読めない”でした。
そうでしょうか。私が観察する限り、実はオバさんって、空気が読めないのではなく、あえて空気を読まない、もしくは、空気を読んでも、あえて無視する強者がほとんど、という気がするんです。
つまり、オバさんは経験値が高いこともあり、頭の回転が非常に速いんですよ。オバさんというジャンルに属していれば、世間から、オバさんのやることだから仕方ないという免罪符を、やすやすといただけることを熟知しています。
だから電車内で空席を見つけた時、人を押しのけてダッシュしようが、新幹線の中で強烈なにおいを発する食べ物を広げていようが、全然平気。多分、心の中で「オバさんですから、勘弁してちょうだいね」と開き直っているのではないかしら? その開き直りっぷりに、世間様はあきらめにも似た気持ちになるのだと思います。
この“オバさん免罪符”を使う楽チンさを覚えてしまったら、なかなか抜け出せるものではありません。本能のおもむくまま、気楽に気ままに生活できるのですから。身に覚え、ありますか?