5月に東京で開催されたイベント「肉フェスお台場2016春」で、ハーブチキンささみ寿司を食べた49人が食中毒を発症。カンピロバクターが検出され、問題になった。このほか6月だけでも(日本食品衛生協会調べ、2016年6月23日時点)、全国で約60件もの食中毒事件が報道され、調理の安全性が問題視されている。だが――。
ニュースになるのは、実は氷山の一角。実際は厚生労働省が公表しているデータの何百倍もの食中毒が日々“家庭”で発生しているのだ。夏は菌が繁殖しやすい季節。食中毒から家族を守る方法を専門家に聞いた。
「食中毒の予防でもっとも大切なのは、病原菌やウイルスを“つけない、増やさない、やっつける”の3つです」とは、日本食品衛生協会の栗田滋通さん。
“つけない”ためには、手洗いがもっとも有効なのだが、8割以上の主婦が手洗いを10秒以内で済ませ、約4割は、石けんなどを使わず水や湯で流すだけでささっと済ませるという調査結果が。
薬用せっけん「ミューズ」の調べによると、水洗いの手で握ったおにぎりに付着している雑菌数は、しっかり手洗いをして握った場合の約25倍。3時間後には約611倍に増殖し、広がっている。
具体的には、専門家が推奨するしっかり洗い(ハンドソープを使う。手洗い時間30秒。洗い残しやすいポイントに注意する。できるだけ汚れた場所を触らない手洗いをする)では、握った直後の雑菌は20個。常温(25度)で3時間後は1800個なのに対し、不充分なささっと洗い(水道水のみの流水で手洗い時間3~10秒)では、握った直後は500個。常温で3時間後には110万個に増殖している。20個と500個の差が25倍だったが、1800個と110万個の差が611倍で、その増え方が圧倒的に「水洗い」の方が多いのだ。
家族のための愛情弁当が雑菌まみれ、なんてこともあり得るのだ。家庭内食中毒を起こすのも防ぐのも、台所を預かるあなた次第だ。
※女性セブン2016年7月14日号