2020年の東京五輪に向けて各地で再開発が進む中、JR山手線・原宿駅の建て替えに地元ではない人たちから反対の声が大きくなっている。昨今の日本では、駅前開発をすると、どれも個性がなくなる印象がある。
「経堂や成城学園前、それから代々木上原まで…小田急線の駅前はとくに同じ商業ビルが入っていて、みんな一緒に見えるんです。どこがどの街かわからなくなることもありますね…」
同線沿線に生まれ住んで39年になる会社員・岡場彩佳さんは嘆く。京都や奈良などでは成功しているが、東京では街開発とともに、歴史的意義のある建物があっさり取り壊されることも少なくない。だから原宿への心配も募るばかりで、今後、東京五輪開催を前に取り壊しが検討されている場所も拡大している。
どうして日本はこうなってしまうのか。明治大学理工学部准教授で米国公認都市計画家としての実績を持つ佐々木宏幸さんは、日本と海外都市の違いをこう分析する。
「海外が優れていて日本がダメと一概に言えませんが、その上で例をあげると、アメリカでは“行政”と“住民”と“事業者”が共同で街づくりに取り組む仕組みができています。住民が積極的に発言しますし、住民と行政と事業者の間をとりまとめるアーバンデザイナーが存在します。
さらにいうと、日本では街は建物でできていると思われがちですが、実際は、建物と建物の間の空間…主に道路や公園など多くが公共空間なのですが、その空間こそ街をつくっているものなんですね。ただの道路ではなく、ストリートという概念。この意識が日本より海外の方がはるかに浸透していると思います。
実は知らず知らずのうちに、皆さんも体感しているはずです。原宿というと、表参道のけやき並木や、竹下通りを思い浮かべたりしますよね。そのストリートが街の顔、ランドマークになっているんです」