2年7か月ぶりに「1ドル=99円台」をつけた6月24日は、英国のEU離脱決定による先行き不安を受けて世界中の株式市場が急落し、「暗黒の金曜日」と称された。
とりわけ日本では、輸出産業への向かい風となる円高が急激に進んだことを受け、〈アベノミクス直撃を警戒〉(日経新聞朝刊、同25日付)といった悲観論が広がっている。
しかし、国際金融アナリストの堀川直人氏は「この円高は日本経済全体としては、むしろ歓迎すべきこと」と正反対の見方をする。
「『円』の価値が上がったことのメリットは非常に大きい。簡単にいえば、価値の高い『円』を持っている日本人、日本企業はドルやユーロで買い物をする時に得になる。企業にとっては海外への投資やM&Aを進め、グローバル化をはかる絶好のチャンスです」
昨年12月の為替相場は1ドル=123円台だったので、たった半年で日本円は米ドルに対して約2割も価値が高くなった。つまり、
《米ドルでの買い物は「2割引き」になった》
ということである。ユーロをはじめとする他の主要通貨も同様で、英ポンドでの買い物は1年前と比べれば“3割引き”というバーゲンセール状態なのである。