5月に東京で開催されたイベント「肉フェスお台場2016春」で、ハーブチキンささみ寿司を食べた49人が食中毒を発症。カンピロバクターが検出され、問題になった。このほか6月だけでも、全国で約60件もの食中毒事件が報道され、調理の安全性が問題視されている。だが――。
ニュースになるのは、実は氷山の一角。実際は厚生労働省が公表しているデータの何百倍もの食中毒が日々“家庭”で発生しているのだ。そこで、食中毒の正体を知って、正しく予防。撃退法で迎え撃とう!
【消毒アルコールにも、熱にも寒さにも強い、ノロウイルス】
1~2日で発症し、吐き気、嘔吐、激しい下痢、腹痛、発熱を引き起こす。食材は充分に加熱処理をすると予防に。二枚貝は85~90℃で1分30秒以上加熱すること。感染者の嘔吐や吐しゃ物からも感染するので、身近に感染者が出た場合、トイレ掃除は壁や床まで徹底的にしよう。また、下痢などの症状がある時は、周りへの感染予防のため、調理をしない。
【発生率NO.1! 鶏肉から感染するカンピロバクター】
2~7日で発症し、発熱、倦怠期、頭痛、めまい、筋肉痛、嘔吐、腹痛、激しい下痢、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合も。乾燥や熱に弱いので生食は避け、75℃で1分以上加熱をすると予防できる。保存の際は肉から出るドリップが他の食材に触れないように注意すること。
【熱、酸に強く、傷口から感染黄色ブドウ球菌】
1~5時間で発症し、激しい嘔吐、吐き気、下痢、腹痛を起こす。おできやにきび、水虫等にも存在する化膿性疾患の代表的起因菌のため、調理中は体(特に患部)に触らないこと。手指に傷がある場合は、ビニール手袋をつけて調理を。また、調理した食品は、10℃以下で保存すること。
【お肉と卵が大好物、サルモネラ】
12~48時間で発症し、吐き気、へそ周りの腹痛、下痢、嘔吐、発熱を起こす。肉やレバーは75℃で1分以上加熱すると予防できる。低温に弱いので肉や卵は10℃以下(チルド室0~4℃が理想)で保存し、割り溶いた卵は放置しない。ペットに触れた後はしっかり洗う。
【乳幼児は重症化、病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)】
5つのタイプがあり、発症のタイミングは菌種により異なる。下痢、腹痛、発熱、嘔吐、脱水症状が起き、特に子供や高齢者は重症化することが多い。生野菜は丁寧に洗い、しっかり加熱調理すると予防できる。特に牛肉は中心部まで火が通るよう、75℃で1分以上加熱を。
【海と生魚が大好き、夏に増える腸炎ビブリオ】
平均12時間で発症し、さしこむような腹痛、激しい下痢、吐き気、嘔吐、発熱が起こる。海水中や泥の中におり、水温が15℃以上になると増殖。真水では生きられないので、魚介類は真水で洗い、65℃で1分以上加熱すること。保存は10℃以下で(魚介類はチルド室0~4℃が理想)。
【死亡例もあるO157(腸管出血性大腸菌)】
3~8日で発症し、下痢、腹痛、発熱、嘔吐。重症化すると死亡することも。生野菜は丁寧に洗い、加熱調理をしっかり行うと予防できる。特に牛肉は中心部まで火が通るよう、75℃で1分以上加熱する。胃酸にも強く感染力が高いので、調理の段階で死滅させることが大切。
※女性セブン2016年7月14日号