「学校の成績に一見関係なさそうな、無駄な学びこそ重要」――「京大3兄弟」の長男で学習塾『探究学舎』講師の宝槻泰伸さんはそう言い切る。
泰伸さんは、『とんでもオヤジの「学び革命」』(小学館)の原案協力者でもあります。同作は、3人の息子を塾も通わせずに京大に進学させた破天荒なオヤジ、翻弄される妻、そして個性豊かな3兄弟を描いた、爆笑あり、感動ありのコミックエッセイ。『女性セブン』の人気連載マンガ『ホーツキさんちのオヤジ』(2015年5月~11月)をまとめた単行本だ。
子どもをやる気にさせ、将来、本当に役立つ知識を身につけさせるための、泰伸さんの授業が始まります。今回の質問はこちら。
――中学2年生の娘の母です。先日、娘に「お母さんは勉強しろって言うけど、どうやればいいの? 勉強のやり方がわからない」と聞かれました。どうアドバイスしたらよいでしょうか?(40代・主婦)
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勉強はスポーツだと思って、取り組ませてください。両方とも上達のメカニズムが同じなんです。
例えば、メジャーリーガーのイチロー選手は、プロになるために、徹底して素振りを練習しました。高校時代は毎日、10分間の素振りをしていたそうです。3年間一日も休まずに。これを反復練習といいます。基礎練習ともいいますね。
勉強でもこの練習が重要です。実践のポイントは1つです。徹底的に繰り返してやること。100回、1000回、1万回やってください。イチロー選手が、日米通算4257安打を打つまでに、一体バットを何回振ったでしょうか。おそらく何十万、何百万回という世界でしょう。
同じことを1万時間やり続ければ、それを極められる「1万時間の原理」という説があります。野球選手になりたかったら、野球を1万時間練習しましょう。作家になりたかったら、1万時間、本を読んで文章を書きましょう。焼き鳥店の店主になりたかったら、1万時間焼き鳥を焼きましょう。つまり、上達のためには膨大な反復が絶対必要なプロセスなんです。