食中毒が心配になってくる夏。その原因となる菌やウイルスは、冷やしても死滅しない。ただし、増殖のスピードを遅らせることはできる。だからこそ、生鮮食品は、買ってから冷蔵庫へ入れるまでの時間をなるべく短くすることが大切になる。お茶の水女子大学教授・村田容常さんが解説する。
「常温で放置する時間が長いほど菌は繁殖するので、持ち歩く際も、保冷剤や氷をそえるよう心がけましょう。そして、帰宅したらすぐに冷蔵庫に入れる、これは徹底してください」
しかし、冷蔵庫でも菌はゆっくり繁殖しているので長期保存は向かない。数日中に食べきるものを冷蔵すると考えよう。長く保存しておくなら、冷凍がおすすめ。
「冷蔵庫の設定温度が、『弱・中・強』と選べるものは、『強』に設定すればいいかといえば、それもあまり意味がありません。確かに、細菌は温度が低いほど増えにくいのですが、細菌は冷凍ですら死滅しません。むしろ、野菜によっては温度が低いと傷みやすいものもあるので、冷蔵温度は食品の適温を考えて設定を。
とはいえ、さばやいかなどの魚介類につく寄生虫アニサキスのように、家庭用冷凍庫で3日程冷凍すれば死ぬものもあり、冷凍は冷蔵よりはよっぽど安全といえます」(村田さん)
生鮮食材を冷凍する場合、野菜ならさっとゆでる、ひき肉は全体に火を通すなど、一度加熱して菌を殺してから冷凍すれば、より安全に保存できるという。
菌はどこにでもいるのでゼロにすることは不可能だが、増殖を遅らせることはできる。正しい保存法を知って、夏を安全に乗り切ろう。
※女性セブン2016年7月14日号