ほとんどのエアコンには「冷房」とは別に「ドライ」のボタンがある。どちらも夏場には部屋を涼しくするために使う機能だが、両者の違いはどこにあり、どちらの節電効果が高いのだろうか。
東京電力技術開発研究所の試算によれば、出力2.8kW(キロワット)のエアコンを設定温度24℃にして運転した場合、冷房では1時間あたり11.0円かかる。
一方、ドライ(除湿)にかかるコストは、運転モードによって1時間あたり4.1円~14.9円と幅がある。
冷房より安い4.1円を記録したのは、同じドライでも「弱冷房除湿」といわれるモード、冷房より高い14.9円となったのが「再熱除湿」モードだ。
そもそもドライとは「湿度を下げる機能」だ。冷房で冷たい空気が当たるのが嫌なときや、室内が極度にじめじめしている場合に使用する。
ゆっくり空気を冷やすことで、室温に影響の少ない程度に水分を結露させ取り出すのが「弱冷房除湿」で、急速に空気を冷やして水分を取り出した後に空気を暖め直して排出するのが「再熱除湿」だ。
つまり、同条件で電気代がお得なのは「ドライ(弱冷房除湿)」→「冷房」→「ドライ(再熱除湿)」の順ということになる。家電コーディネーターの戸井田園子氏が解説する。
「古いエアコンでは再熱除湿が主流でしたが、再熱除湿はいわば『冷房と暖房を同時に使うようなもの』。エコではないという理由で、東日本大震災以降は消費電力が少ない弱冷房除湿を搭載したものや、両者をリモコンで切り替えられるものが増えています。現在使っているエアコンがどのタイプか、取扱説明書などで確認できます」
ただし、30℃を超えるような非常に高い室内温度を一気に下げたい場合、湿度を下げることが主目的の弱冷房除湿では設定温度に到達するまでに余計な時間がかかってしまい、消費電力もその分大きくなる。
東京電力のレポート『エアコンの「冷房」と「除湿」の上手な使い方について』では、
〈蒸し暑く部屋の温度・湿度を素早く下げたいときには「冷房」運転し、温度と湿度がある程度下がったら、設定温度を上げたり、「弱冷房除湿」に切り替えるといった使い方をすると省エネになります〉
としている。
※週刊ポスト2016年7月15日号