参院選が迫っているが、自分のことしか考えない日本の政治家たちの資格を厳しく問うのは、ジャーナリストの落合信彦氏だ。彼らに対し、落合氏は贈りたい言葉があるという。
* * *
この原稿を書いているいま、7月10日の参院選に向けて、政治屋たちが走り回り、叫び続けている。だが彼らの言葉を聞いていても、日本の未来を本気で考えている様子は微塵も見えない。
カネと利権にしか興味がない政治屋たちに、次の言葉を紹介したい。ジョン・F・ケネディの弟、ロバート(ボビー)・ケネディが1968年3月に行った大統領選出馬宣言の一節だ。当時のアメリカは、ヴェトナム戦争が泥沼化し、人心はすさみ、麻薬常用者が街を跋扈して、犯罪がはびこっていた。
〈私はこの国の隅々まで旅し、人々の声を聞いてきた。そして彼らが戦わねばならない戦争、彼らが受け継がねばならない世界に対する彼らの怒りを感じた。(中略)
この選挙で問われるのは、単にわが党やわが国のリーダーシップが誰にいくかという問題ではない。真に問われているのは、この世界におけるモラル・リーダーシップを果たしてわれわれが握れるのかどうかということなのだ〉
ボビーは、大切なのは「モラル・リーダーシップ(道義的指導力)」であると主張したのだ。
残念ながら、いまの日本の政治屋たちは、モラル・リーダーシップをとるどころか、自らのモラルさえ失っている。議員歳費や文書交通費など年間1億円にも及ぶ自らの利権。業界団体から得られる巨額の献金。カネ、カネ、カネ。とにかくそのために議員バッジを握りしめている輩ばかりだ。
選挙の時だけ有権者にペコペコして、バッジをつけたら何もしない。そんな政治屋がまたこの選挙で大量に生まれると思うと、むなしくなる。
※SAPIO2016年8月号