芸能

テレ朝シニア向けドラマ 巨匠たちを巡る出演者たちの愛憎

テレ朝シニアドラマで元恋人と共演する加賀まりこ

 テレビ朝日は来春、シニア層向け帯ドラマ枠を新設。その第1弾となるのが、倉本聰が脚本を手がける、老人ホームを舞台とした『やすらぎの郷 La Strada』(イタリア語で「道」の意味)だ。主演は石坂浩二(75才)、そして浅丘ルリ子(76才)、加賀まりこ(72才)、有馬稲子(84才)、野際陽子(80才)、八千草薫(85才)など、大女優たちが脇を固める。

 ここで話題となっているのが、石坂浩二と浅丘ルリ子の元夫婦の共演だ。また、石坂は加賀まりことも交際していた過去があり、元妻だけでなく元恋人とも共演することとなる。

 さらに加賀は、先輩女優である八千草薫とも浅からぬ因縁がある。加賀は文豪・川端康成原作の映画『美しさと哀しみと』(1965年)に出演した際、妖精のような演技で川端を魅了した。

「川端は以後、加賀さんのパトロンのような存在になりました。しょっちゅう加賀さんのいる撮影所や劇場を訪れ、彼女の銀座のツケまで川端が全額支払ったといいます。若き人気女優と文豪のただならぬ仲は、当時のマスコミの関心事でした。ところが、それまでの川端のお気に入り女優といえば、『美しさと哀しみと』にも出演していた八千草さんでした。年下女優にその座を奪われた八千草さんの心境は穏やかではなかったといいます」(芸能記者)

 日本人初のノーベル文学賞作家を“奪い合った”2人の共演も見物だ。

 俳優としての石坂の出世作は、巨匠・市川崑監督がメガホンを取った『金田一耕助』シリーズだ。主役に抜擢され、一から演技指導を受けた市川監督に石坂は心酔。多くの市川作品に出演した浅丘も市川チルドレンの1人だ。

 そんな市川監督を「あの人だけは許せない」と公言するのが、今ドラマで共演する有馬稲子。ちなみに、有馬と八千草は宝塚歌劇団の同期という間柄だ。

 有馬は2010年、日経新聞に連載した「私の履歴書」にて、20代で17才年上の映画監督と不倫し、やがて身ごもった子供を中絶したと告白した。芸能レポーターの石川敏男氏はこう話す。

「この時、有馬さんは監督の名前を明かしませんでしたが、読む人が読めば市川監督とわかる内容でした。大女優の衝撃的な告白は世を驚かせました」

 市川監督を尊敬する石坂や浅丘にとって、有馬は「大師匠を恨む元愛人」。両者の共演に胸がザワつく関係者は多い。石坂は新ドラマにあたって、こんなコメントを出している。

「われわれの世代はテレビの歴史でいろんな初めてを経験してきました。そんな仲間たちと芝居ができるというのは、やはり醸し出す空気が自然といつもと違うのだろうな…と楽しみに思っております」

 昭和芸能史を揺るがせた愛憎劇も、それぞれが咀嚼し、乗り越えて、芸の肥やしとして昇華できるほどの時が経った──ということなのだろう。

※女性セブン2016年7月21日号

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