女性セブンのアラカン記者・オバ記者が、世の中の矛盾に牙をむくこのコラム。今回は選挙に対する怒りをぶちまけます。
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まったく悪い冗談としか思えない。何がって、今回の参院選から18才と19才の有権者240万人が誕生したことだ。
わが身を振り返れば、18才、19才といったら“若気のいたり”の大量生産中。ろくでもないオトコを追っかけるのに忙しくて、お国の代表者を選ぶなんてとてもとても。まあ、異性より選挙カーの後を追っかけまわすのが好きで、候補者の演説に「鳥肌たった」とか言うコがいたら、どっか変だけどね。
選挙年齢が引き下げられた理由は…これから子供が減って高齢者が増え、人口減少は止まらない。だから世界の先進国並みに18才から選挙権を持ったら、若者に向けた政策が実現しやすくなるだろうということらしいけど、しかし、そううまくいくかなぁ。
2年4か月前、東京都知事にふさわしい、と私を含めた211万2979人がマスゾエ氏を選んだのに、その結果は、衆目ほぼ一致で「せこい」。
「ちっ、マスゾエには騙されたよなぁ」と、その傷口がまだふさがってないんだからさ──若者よ。「で、どんな基準で誰を選んだらいいわけ?」なんて、頼むから聞かないでよ、と言うのが大人世代の正直なところじゃないか。
「この道を。力強く、前へ。」というスローガンを掲げる自民党は、「選挙はじめて物語」という漫画をネットにアップしている。ドジっ子の女子高校生がツンデレ男子の気を引くため、“候補者の理念や志”に目を向け、選挙に行くお話だ。
若者の正しい姿に水を差す気はないけれど、理念や志って、たいがいの候補者は立派なのよ。で、Aさんの公約を読むと、「ほう、それはそれは」と感心し、Bさんの言い分を聞くと、「いいこと言うねぇ」と思う。なのに、その中身を誰も心底信じていないんだよね。思えば変な話だけど。
というのも、私ら、「人前で政治と宗教の話はマナー違反」とは教わったけど、政治理念の読み解き方なんて聞いたことがない。ずっとあいまいなまま。それは平成生まれの若者だって同じはずなのに、いきなり選挙権を持たされるってどうよ。
「自分の考えで選べ」って言うけど、私らだってできてないことをよく言うよね。
それともうひとつ、選挙権を持ったがために、大人のいや~なところを、若くして見るハメにならないか。
たとえば、公約は言ったもん勝ち。果たせなくても罰則はないし、何回同じことを言ってもお咎めなしだし。
これまで、選挙のたびに、縁もゆかりもない小・中学校で、確信のないまま、縁もゆかりもない人の名や政党名を書いてきた。そんな投票に割り切れない思いを抱いてきたけれど、この夏の2つの選挙は、今まで以上に気が重い。
「こんな思いをさせやがって、責任者、出てこい」と言いたいところだけど、「はい」と一歩、前に出る人は誰もいないしなぁ。
これが私たちの美しい日本? やっぱり悪い冗談だよ。
※女性セブン2016年7月21日号