桑田佳祐、3年ぶりとなる渾身の新作シングル『ヨシ子さん』がオリコンチャート初登場で、まさかの2位。桑田が1位を獲得できなかったことの衝撃が音楽業界に広がっている。
『ヨシ子さん』は6月29日に発売された、桑田通算16枚目のシングル。収録の4曲はCMなどでも使用され、1曲ずつをシングルで販売してもよいほどのものだ。
シングルのタイトルソング『ヨシ子さん』はWOWOW開局25周年記念のCMソング。缶コーヒー「UCC BLACK無糖」のCMで桑田が熱唱しているのが『大河の一滴』だ。『愛のプレリュード』はJTBのCMソングで、『百万本の赤い薔薇』は『ユアタイム~あなたの時間~』(フジテレビ系)のテーマソングと、超豪華なラインナップだ。
「ベテランの人気アーティストである桑田が内容の充実したシングルを出すのであれば、発売日でのオリコンチャート1位獲得は既定路線と思われていました」(音楽業界関係者)
ところが、7月5日にオリコン週間シングルランキングが発表されると、思わぬ番狂わせが起きていた。
その週、桑田からチャート1位の座をもぎとったのは、ダンスグループ「GENERATIONS from EXILE TRIBE」による12枚目のシングル『涙』。同グループは、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いを誇るEXILEグループの一角をしめる、白浜亜嵐をリーダーとする男性7人組だ。
だが、いくら人気上昇中の彼らとはいえ、桑田のキャリア、知名度と比べると、まだまだ及ばないのもまた事実。しかも、GENERATIONSのファンは女子中高生から20代前半の女性がメイン。この世代はCDを聞くこと自体が少ないとされ、したがって音楽コンテンツはCDではなく、ダウンロードで手に入れるファンが多い。そして、CDの実売をカウントするオリコンランキングでは、ダウンロード数は順位には反映されない。
なぜGENERATIONSは桑田を抑えて1位になったのか。
「6月28日までの売り上げ、つまり予約の段階で桑田とGENERATIONSの間に圧倒的な差がついたんです。発売2日目からは桑田が巻き返しましたが、1位には届かなかった」(大手レコード会社関係者)
チャートの詳しい数字を見てみよう。発売日前日、6月28日の時点で桑田によるシングルの予約枚数が36664枚、GENERATIONSは81172枚だ。発売日、29日の売り上げは桑田が15244枚、GENERATIONSは4335枚。発売日以降は桑田がGENERATIONSに毎日、販売枚数で3倍以上の差をつけたのだが、週の合計では桑田が81262枚に対しGENERATIONSは93928枚、圧倒的な予約枚数がGENERATIONSの週間ランキング1位獲得をもたらした。
では、なにが若年層女性をメインとするGENERATIONSのファンたちをしてシングルを大量に予約させたのか。
「勝因は予約特典のスクラッチカードです。オフィシャルサイトやLIVE会場でシングルを予約してカードを入手、アタリが出ればメンバーにバックステージ(楽屋裏)で会って記念撮影ができるというものです。たとえばAKB48の握手券とは違い、購入すれば握手ができるというように、確実に目的を達成できるものではないのです」(別の音楽業界関係者)
となれば、当選を狙って大量に予約する向きが出てくるのも無理はない。実際、ネット上には、バックステージでメンバーに会うために、「私は5枚買った」「10枚買った」という声が溢れている。
バックステージ狙いのファンによる大量予約がもぎとったチャート1位。熱狂的な桑田ファンでもさすがに購入する CDは1枚だろう。いくら大物であっても、GENERATIONSの熱狂的なファンによる“まとめ買い”にはかなわなかった、というわけだ。