コラム

指標発表後のFXトレード 相場のトレンドが値動きを左右

 FX(外国為替証拠金取引)において、米雇用統計など重要指標発表時は相場が大きく動くことから絶好のチャンスといわれる。とはいえ、指標発表時のトレードはリスクも大きい。指標発表時の相場に対してどう対峙すべきか、カリスマFXトレーダー・羊飼い氏が解説する。

 * * *
 結果によって相場が大きく変動する経済指標の発表は、FXトレーダーにとっては絶好のチャンスだ。しかも多くは日本時間の夜であるうえ、日付や時間があらかじめ決まっているので、日中は仕事という人も「参戦」しやすいというメリットがある。今回は、羊飼いの指標発表時のトレード方法について紹介したい。

 個人投資家の中には、事前に指標の結果や発表後の値動きを予想して、一か八かのポジションを取ろうとする人もいるようだ。このようなトレードは当たれば大きいが、外れた時のリスクも非常に大きくギャンブル同然だ。少なくとも、コンスタントに利益を出し続けているトレーダーはこんな取引はしない。トレードは結果が発表されてからでも十分利益は取れる。

 発表直後の動きに食らいついていったり、瞬発力の勝負だと考える人もいるかもしれないが、決してそれだけではない。むしろ、発表直後に動いた方向へやみくもに追いかけると、逆に危険を伴うことも多いのだ。

 まず、指標の結果に対する市場の反応は、絶対的な良し悪しよりも、事前の市場予想とどれだけ離れているかで決まる、ということを覚えておきたい。相場はすでに市場予想を織り込んで動いているので、良し悪しに関わらず予想通りの結果であれば大きな反応はないことが多い。アメリカの指標の場合、予想より良い結果となるポジティブサプライズであればドルが買われ、ネガティブサプライズが大きいほど売られることになる。

◆相場のトレンドが指標発表後の値動きを左右

 こうした市場予想との乖離に加え、もうひとつ発表後の相場に大きな影響を与える要因がある。これを、2016年4月1日のアメリカ雇用統計発表時の例で説明しよう。

 このときの非農業部門雇用者数は、市場予想を1万人上回るまずまずの結果となった。このポジティブサプライズを受けて発表と同時にドルが買われ、ドル円レートはたちまち40銭ほども上昇した。

 ここまでは教科書通りだ。しかしこの流れはわずか数分しか続かず、すぐに値を戻してしまった。これはなぜか。

 指標発表後の値動きは、指標の結果だけでなく、発表直前までの相場のトレンドに大きく左右されるからだ。トレンドと経済指標の結果が同じ方向であればその流れが加速しやすいが、逆方向であれば一時的に経済指標に反応してもすぐ戻ってしまったり、反応自体が小さく終わってしまうことが多い。

 4月の雇用統計の場合、直前の3月29日にイエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長が講演で追加利上げに慎重な姿勢を示したことから、相場には大きな円高ドル安のトレンドができている中での発表だった。こういう時は、雇用統計の結果が悪いとドル売りが加速しやすいので、素直にドル売りの流れについていくトレードが成功しやすくなる。

 ところが、雇用統計の結果が良いと、相場は一時的にトレンドに逆らって動くことになるので、よほど大きなポジティブサプライズでない限りその上昇エネルギーは続かないことが多い。それどころか、後からその上昇分が帳消しになるほど売られたり、それ以上に下落することもあるので、流れを慎重に見極めながらトレードする必要がある。

※マネーポスト2016年夏号

関連記事

トピックス

母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
永野芽郁、4年前にインスタ投稿していた「田中圭からもらった黄色い花」の写真…関係者が肝を冷やしていた「近すぎる関係」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《インスタで娘の誕生報告》大谷翔平、過熱するメディアの取材攻勢に待ったをかけるセルフプロデュース力 心理士が指摘する「画像優位性効果」と「3Bの法則」
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン
上白石萌歌は『パリピ孔明 THE MOVIE』に出演する
【インタビュー】上白石萌歌が25歳を迎えて気づいたこと「人見知りをやめてみる。そのほうが面白い」「自責しすぎは禁物」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《お泊まり報道の現場》永野芽郁が共演男性2人を招いた「4億円マンション」と田中圭とキム・ムジョン「来訪時にいた母親」との時間
NEWSポストセブン