「学校の成績に一見関係なさそうな、無駄な学びこそ重要」――「京大3 兄弟」の長男で学習塾『探究学舎』講師の宝槻泰伸さんはそう言い切ります。
泰伸さんは、『とんでもオヤジの「学び革命」』(小学館)の原案協力者でもあります。同作は、3人の息子を塾も通わせずに京大に進学させた破天荒なオヤジ、翻弄される妻、そして個性豊かな3兄弟を描いた、爆笑あり、感動ありのコミックエッセイ。『女性セブン』の人気連載マンガ『ホーツキさんちのオヤジ』(2015年5月~11月)をまとめた単行本です。子どもをやる気にさせ、将来、本当に役立つ知識を身につけさせるための、泰伸さんの授業が始まります。今回の質問はこちら。
中1の長男に英語と数学の2科目だけを塾で学ばせています。国語と理科、社会も勉強させたほうがいいのでしょうか? (40代・主婦)
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英数国は、主要3科目といわれています。東京都立高校の中には、全校共通の入試問題のほかに英数国だけ独自に問題を作る高校があります。大学入試のセンター試験でも、この3科目の配点が高い。
このように受験で重視されていることから、英数国を特化して勉強させることがいいとされています。特に英語と数学だけ塾に行かせている保護者のかたは多いと思います。しかし、ウチのオヤジは、理科と社会が大事だと昔から言い続けていました。塾講師になった私自身も、強くそう思います。
世の中にある職業のほとんどは、理科や社会がかかわっています。数学や英語の専門家になる人はわずかですよね。例えば、金融だったら、社会の動きを知らないと働けないし、公務員だったら社会制度を学んでいないと市民の役に立てません。
受験の先にある、大学での研究や、社会人として働く意義などを考えられる子どもにするためには、理科と社会の勉強を一生懸命やらせてください。子どもの知的好奇心に火をつけるのは、理科と社会です。それらを学ぶことで、何をもっと研究したいか、どんなことに携わりたいかを考えるようになります。
そして、英語と数学は、自分のやりたいことを実現するためのツールでしかありません。例えば、国連で働いて国際平和に貢献したい。だから、私は英語を勉強する--ということです。“英語と数学しか勉強させていない=親が受験しか見据えていない”と同意義です。
ただし、今の学校の理科と社会の授業では、ほとんど意味がありません。なぜなら暗記中心だからです。“とりあえず覚えること”が前提の授業で、知的好奇心には、火をつけられません。では、どうやって理科と社会を勉強させればいいのか。
漫画を読ませてください。中国の歴史を描いた『三国志』、武田鉄矢さん原作で坂本龍馬の人生を綴った『お~い!竜馬』、宇宙を目指す兄弟の物語『宇宙兄弟』など、漫画には、子どもの理科と社会の知的好奇心を呼び起こす作品がいくつもあります。
漫画は、人々を楽しませ、夢中にさせる工夫がたくさんされているから、教科書よりも圧倒的におもしろい。ちなみに『アポロ13』や『ガンジー』などの映画もおすすめです。
知的好奇心を高める理科と社会の学びは、英語と数学の塾代に比べたら、お金がまったくかからないところもおすすめポイントの一つです。
※女性セブン2016年7月21日号