プロ野球、セ・リーグのペナントレースで2位とのゲーム差をどんどん広げ、首位を独走する広島カープの好調ぶりだけではなく、観光地、食、出身芸能人に至るまで今全国、そして世界から広島にアツい視線が注がれている。外国人旅行者向け観光サイト・トリップアドバイザーの『外国人に人気の観光スポットランキング』で3年連続で2位と3位に平和祈念資料館と厳島神社がランクイン。「食」に関しては、キャベツたっぷりのお好み焼きも「ヘルシーで美味」と欧米人から評判なのだという。
そして、広島出身の芸能人といえば綾瀬はるか(31才)、真矢ミキ(52才)、有吉弘行(42才)らが知られているが、際立っているのが大物ミュージシャンの多さ。
吉田拓郎(70才)や矢沢永吉(66才)といった大御所のほか、Perfume、奥田民生(51才)、ポルノグラフィティも広島出身だ。県民性に関する著書が多い評論家の矢野新一さんが言う。
「広島は“盛り上がり度No.1”。学園祭でもいちばん盛り上がるのは広島だし、カープの応援は声の大きさからしてけた違い。また、明治時代に日本がハワイへの移民を募集したところ、名乗りを上げたほとんどが広島県民だった。地元ライブでの盛り上がりと、明治時代から持っていた新天地を目指す気質が、彼らを東京での成功へ導いたのでしょう」
また自動車メーカーのマツダ、パンのチェーン・アンデルセンなど、広島には“一味違う”個性的な企業がある。
「“へじゃがのう”(あなたはそう言うけれど)という方言にも表れていますが、とにかく自分の言いたいことを言う、やりたいことをやるという強い意志を持った、“広島気質”に根ざした企業です。アンデルセンやマツダは、目先の利益よりも、自分たちがいいと思う製品を作り出す姿勢を貫き続けている」(『広島はすごい』(新潮新書)の著者で日本経済新聞広島支局長の安西巧さん)
例えばアンデルセンは7年かけて生み出した「冷凍パン」の特許技術を無償公開。「パン市場を育て、消費につなげたい」「パン職人たちの苦悩を解消したい」という思いからだった。
お金も人も足りなかったマツダはハイブリッドや電気自動車を作って他社と競争する余裕はない。そこで小型で軽く、高出力がウリの“ロータリーエンジン”をはじめとした内燃機関の開発・改善につとめ、その結果、近年何度も“カーオブザイヤー”を受賞する快挙を成しとげたのだ。
「企業も個性を磨くことが必要な時代。広島気質はこの時代を生き抜くのに非常に適しています」(安西さん)
広島には今、時代という「ぶちスゴイ追い風」が吹いている!
※女性セブン2016年7月21日号