国内

トリミングでペットがケガ 店を訴えることはできる?

トリミングでペットがケガさせられたら…(PH:アフロ)

 物言わぬペットのとっさのトラブルに、どう対処すればいいのか、悩んだ経験がある人は多いのでは?

「トリミング後のこと。愛犬の様子がおかしいのでよく見てみると、肛門の横がえぐられて出血していて、お腹にも擦り傷が。店に連絡すると、「暴れる場合はそういうこともあると、同意書に記載済み」と言われました。その後、痛みで排泄ができなくなり、通院することに。店を訴えられますか?」(神奈川県・あき子、34才・会社員)

 この悩みに、共著に『ペットのトラブル相談Q&A』(民事法研究会)などがある弁護士の杉村亜紀子さんが答えてくれた。

 * * *
 大切なペットを傷つけられ、怒りとともに大きなショックを受けたことでしょう。トリミングショップは施術中にペットの体を傷つけないよう、安全に注意をしなくてはならない義務(善管注意義務)を負っています。ですから、けがをさせてしまったことについて、店側に善管注意義務違反があれば、損害賠償の責任が発生します。

 しかし、突然ペットが暴れてけがをさせてしまったなど、充分配慮していたにもかかわらず、不可避的に事故が起きてしまった場合は、責任が認められません。

 今回のケースでは、店側に義務違反があったかどうかがポイントになります。何があったかをしっかり聞き出し、傷の写真を撮る、診断書をもらうなど、証拠を残しておきましょう。

 トリミングをお願いする際に、「何があっても店は一切責任を負わないことに同意する」という同意書を書かされることがあります。

“同意書に署名してしまったから、文句を言ってはダメなのでは”と思われるかたも多いですが、そんなことはありません。消費者契約法第8条により、事業者の損害賠償の責任を免除する条項は無効になりますので、同意書があったとしても、損害賠償の請求ができます。

 義務違反が認められた場合、トリミングショップは、ペットのけがの治療費や通院のための交通費などの損害を賠償しなければなりません。

 その他、けがの経緯や程度によっては、飼い主への慰謝料が認められるケースもあります。実際にトリミング中に猫の尻尾を約5cm切り落としてしまった事案では、トリマーの過失が認められ、飼い主の精神的ショックは大きいとして、裁判所は慰謝料10万円の支払いを命じました。

 ペットにこそ慰謝料を、と考えるかたもいるでしょうが、残念ながら日本では、動物は法律上「物」として扱われます。そのため、ペットへの慰謝料は認められません。あくまでも、所有者である飼い主に、慰謝料が認められるだけになります。

 いずれにせよ、飼い主は声を上げられないペットに代わり、同意書に惑わされることなく、しっかり主張してあげてください。

※女性セブン2016年7月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
永野芽郁、4年前にインスタ投稿していた「田中圭からもらった黄色い花」の写真…関係者が肝を冷やしていた「近すぎる関係」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《インスタで娘の誕生報告》大谷翔平、過熱するメディアの取材攻勢に待ったをかけるセルフプロデュース力 心理士が指摘する「画像優位性効果」と「3Bの法則」
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン