日本史の教科書に載っている歴史上の偉人の顔は思い浮かんでも、その身長や体重までを想像したことは、ほとんどないだろう。そんな歴史上の疑問を解き明かしているのが『日本史有名人の身体測定』(KADOKAWA)の著者・篠田達明氏だ。彼は歴史小説家でありながら、現役の整形外科医でもある。篠田氏はどうして偉人の体型を調べ始めたのか。
「医師として患者には必ずカルテを作る。薬の量を決めたり、手術時の麻酔量を決めるのにも身長、体重が必要です。歴史の研究をしている際、偉人のカルテがあれば、その姿が鮮やかに立ち上がるのではないかと考えたわけです」
篠田氏は「体型」を推定する際、さまざまな方法を使う。古代の偉人は古事記や日本書紀といった古文書や肖像画はもちろん、衣服や甲冑、家族や友人など周囲の人が書き記した書物も参考になる。幕末以降は写真が残っている人物もいる。また整形外科医の篠田氏ならではの算出方法もある。
「人の上腕骨と身長の関係について〈男性の身長=上腕骨の長さ×2.8+73cm〉、〈女性の身長=上腕骨の長さ×2.5+79cm〉の公式がある。衣服や絵画から上腕骨の長さを推定し、身長を割り出す」
※週刊ポスト2016年7月22・29日号