東京五輪招致の不正疑惑で揺れる日本オリンピック委員会(JOC)。そのトップとして会見などで目にする機会が増えたのが竹田恆和会長だ。「旧皇族」竹田家の出身である。
旧皇族が「理事長」「名誉顧問」など国を代表する組織のトップを務めるケースは枚挙に暇がない。恆和氏の兄である恒正氏は昨年、日本ゴルフ協会会長に就任。北白川道久氏は神社本庁の統理を、東久邇信彦氏はプロ・アマ合同の「全日本野球会議」の名誉会長、朝香誠彦氏は日本食文化協会最高顧問を務めている。
旧皇族とは、敗戦後にGHQ(連合軍総司令部)の命令で皇籍を離脱した11の宮家のこと。彼らがこうした「名誉職」に就任するのはなぜか。神道学者で皇室に詳しい高森明勅氏が解説する。
「JOCや神社本庁など、公共性の高い組織では、民間の営利企業のトップのように“人を押しのけてはい上がってきた人”よりも、公共性や神聖性を体現できる旧皇族関係者がトップに立ったほうが収まりがいい。名誉職は営利企業とは別の論理で選ばれる必要があります」
竹田会長の息子で『語られなかった皇族たちの真実』(小学館刊)の著者、竹田恒泰氏はこう指摘する。
「JOC会長は組織の責任者で名誉職ではありませんが、オリンピックは元々、欧州の貴族が“平和の祭典”として実現に関与し、いまでも王族や貴族の関わりが深い。父は旧皇族であることに加え、二度の五輪出場経験(馬術)があり、JOCとも関わりが深いために推挙されたのだと思います」
※週刊ポスト2016年7月22・29日号