中国の習近平国家主席の父、習仲勲氏が1980年代、近平氏の福建省長就任の際、「一部の幹部子弟は父母の地位や影響力を使って、商売に利用しようとしているが、それは違法行為で、党の威信を著しく傷つける。絶対に権力を使ってビジネスに利用してはならない」と遺言していたことが分かった。
習近平氏はその後、党最高指導者である党総書記や国家主席に就任し、汚職撲滅を目的とした反腐敗闘争を展開し、父の遺言を守っている。だが、問題は習氏の姉夫妻で、パナマ文書ではタックスヘイブンのカリブ海の国で銀行口座を開くなど、たびたび不正蓄財疑惑が報じられており、ネット上では「結局、姉夫婦は習仲勲の遺言を守らず、習近平の権力を利用しているではないか。習近平も同罪だ」との厳しい指摘が寄せられている。
習仲勲氏は中国共産党の古参幹部で、国共内戦時には中国人民解放軍の前身である紅軍や八路軍の幹部を務め、1949年10月の共産党政権樹立後には副首相や党政治局員などを歴任した大幹部。習近平氏ら子息は太子党(高級幹部子弟グループ)であり、習氏はいまや太子党を権力基盤とする最高指導者として君臨している。
しかし、その習近平氏が道を踏み外さないように心配していたのが、習仲勲氏で、「家のなかの小さなことで、仕事に影響を与えてはならない。福建省長になって、これからが近平にとって重要な時期であり、日ごろの仕事をゆめゆめないがしろにしてはならない」と電話で忠告。
さらに、習仲勲氏は遺言書に「他の幹部の子息は権力を使ってビジネスに利用しようとする者もいるが、我が家の子息は絶対にビジネス活動に関わってはならない。ビジネスの世界に入ると、どうしても私利私欲に走るようになる。そうなると、とても公平な仕事はできなくなる」と書き残した。
習近平氏はことあるごとに、母親の斉心氏から「何事も公務が重要。絶対に私利私欲に走ってはならない」と忠告を受けているという。日ごろの習近平は非常に多忙だけに、めったに母親と会う時間はないが、たまに里帰りすると、一緒に手をつないで散歩に行くというほどで、母の助言を忠実に守っているという。
ただ、他のきょうだいはそうでもなく、2人の姉夫妻は大規模にビジネス展開し、未上場株を譲渡してもらうなどの不正蓄財疑惑を香港紙「りんご日報」などが伝えている。そのため、ネット上では「習近平主席は、父親の遺言を守れないような姉と縁を切るべきだ」などとの過激な書き込みがみられている。