上杉謙信と武田信玄の2人が五度にわたって干戈を交えた「川中島の戦い」といえば、日本人なら誰もが知る伝説の戦だ。今回、両家の直系子孫である上杉家第17代当主・上杉邦憲氏(73)と武田家第16代当主・武田邦信氏(68)の初対談が実現。両当主が大名家の関係について語り合う。
〈山梨県笛吹市では「ふるさと納税」の寄付額によって、春の祭り・川中島合戦戦国時代絵巻で信玄役、謙信役を演じる権利を得ることができる。だが、その額は信玄役が100万円、謙信役は50万円と大きく差がある〉
上杉:信玄公のお膝元の山梨ですから不満はありません。米沢で『川中島の模擬合戦』をやれば、上杉勢をやりたい人ばかりですが、武田勢はなかなか集まらない。山梨では反対になるんでしょうけど……。
武田:いやいや、そんなことはない。山梨では上杉家は尊敬されていますよ。でも、これが織田家となると、また話が複雑になってくるのですが(苦笑)。
織田家といえば、あちらの子孫の方とは『長篠の戦い』の慰霊祭で毎年お会いしています。他の戦国大名では、昨年は徳川家康公薨去400年だったので、徳川宗家とはよくイベントでご一緒しました。あとは前田(慶次)家なども交流を持っています。上杉さんは大名家とのお付き合いはたくさんあるでしょう?
上杉:上杉家の場合、各大名家と必ずどこかで繋がっている。今の徳川宗家の当主とは母同士が姉妹(邦憲氏の母は徳川家17代目・家正氏の次女)なので従兄弟同士です。ここが一番近い間柄で時々酒を飲んだりします。戦国大名は血を絶やさないように子供が何十人もいたりする。その子たちを別の家に養子に出したり、嫁がせたりする。ですから大名家は婚姻関係をたどるとみんな親戚になるんです。
※週刊ポスト2016年7月22・29日号