14日に告示され、ますますヒートアップしている都知事選。都知事を一言でいうなれば、「東京という“超大国”のお殿様」。東京は世界有数の都市どころか、大国と比べても遜色のない経済的なパワーを持っている。
年間の予算は約13兆7000億円。これはスウェーデンに匹敵する規模。
GDP換算では約1兆6000億ドルで、韓国の国全体のGDP(約1兆3000億ドル)を大きく上回る。もし東京が独立国になれば、世界ランクでは10位前後になり、いきなり“主要国”の仲間入りだ。都市としては、アメリカのニューヨーク市やロサンゼルス市を抑え、堂々たる世界一の大都市である。
そのリーダーなのだから都知事が大きな影響力を持つのは当たり前。とはいえ、地域の経済規模を比べるだけでは、「総理大臣をしのぐ」とはいえない。大手紙政治記者が解説する。
「総理大臣は日本の行政のトップですが、直接、国民の投票で選ばれたわけではない、というところがポイントです。国会議員による間接選挙で選ばれるので、基本的には議会の方が力が強い。
国会で否決されれば法案を通すこともできず、所属する党内の反対を受けて、思い通りに政策を実行できないことも珍しくない。時には内部から足を引っ張られて辞任に追い込まれることもあり、さらに選挙で負ければ即、政権交代です。
その一方で、東京都知事は都民による直接選挙で選ばれます。よく“知事は大統領に近い”といわれますが、それは両者とも国民による投票で選ばれているから。しかも任期は4年で、一度都知事になればよっぽどのことがない限り、安定して権力の座に居続けることができるんです」
戦後、都知事になった人は舛添要一氏(67才)まででたった8人。一方、首相は安倍晋三氏(61才)で34人目。それだけ都知事の地位は”安泰”ともいえる。議会に対する力の強さも、首相とは段違いだ。
「知事には『専決処分』という権限が広範囲に認められていて、議会がなんといおうと独断で決定が下せるんです。かつて青島幸男都知事はすでに準備が進んでいた都市博の中止を決めました。都議会は100対23の大差で青島氏の決定に反対する議決を行いましたが、青島氏はおかまいなしに中止を断行。知事がこうと決めたら、その決定を覆すことは難しい」(前出・記者)
※女性セブン2016年7月28日号