先進国では経済格差が拡大し、高額報酬を得る経営者への風当たりは強くなる一方だ。
「日産から10億7100万円の役員報酬(2015年度)を得ているカルロス・ゴーン氏(62)について、仏紙『リベラシオン』は“最低賃金の764倍を稼ぐのは公平でない”と批判しています。実際に株主の半数以上がゴーン社長の高給に反対しており、経済誌でもゴーン氏に批判的な見解が目立つ。明らかに逆風が吹いています」(在欧ジャーナリスト・宮下洋一氏)
こうした流れを受けて、すでに米国の大企業では、「報酬1ドル」というCEOが続出している。グーグル創業者のセルゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏などが有名だ。岡山商科大学経営学部の長田貴仁教授が解説する。
「彼らの多くは、報酬ではなく自社株の配当で莫大な利益を得ます。株の配当は基本的に会社の業績に連動するため、“頑張った対価を正当に受け取っている”として、株主を説得できるメリットもある」
「報酬」を減らして、「配当」で受け取るのが世界の経営トップのスタンダードになってきているのだ。
※週刊ポスト2016年7月22・29日号