元俳優・高知東生容疑者(51才)が覚せい剤取締法と大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕された事件を受け、謝罪会見で「妻の責任がある」と発言した女優の高島礼子(51才)。妻としての責任問題について、さまざまな意見が交わされている。
家族が間違った道に進んでしまったとき、妻や親はどのように“責任”を取ってきたのか。芸能界では次のような例がある。
古くは1970年代から1990年代にかけて、俳優の勝新太郎さんが2度にわたって薬物関連で警察沙汰になったとき、妻の中村玉緒が関係各方面にひたすら頭を下げた。1998年1月、女優・三田佳子の次男(当時18才)が覚せい剤取締法違反で逮捕されたときにも、三田は会見で謝罪。7社あったCMをすべて降板し、女優活動を10か月間自粛した。
記憶に新しいところでは、2013年9月にキャスターのみのもんたの次男(当時31才)が窃盗未遂容疑で逮捕され、みのはこれを受けて、報道番組を降板している。
3人の息子を育てた歌手でエッセイストのアグネス・チャンさんは、罪を犯したのが夫であるか子供であるかで話は異なるという。
「ケースバイケースではありますが、子供の場合は、人間形成にかかわっているので、その意味では親に責任があると思います。私なら、たとえ子供が成人していても、親としてもっときちんと育てていればと責任を感じるでしょう。
しかし夫婦は一緒に生活していても、結婚したときから、どちらも大人です。夫が罪を犯したとき、それに気づけなかった自分への悔しさは感じると思いますが、責任を負うものではないと思います」
どちらにしても、ひとりの人間の罪について妻や親にも責任を求めるのは、日本特有の風潮だと指摘する人もいる。『パラサイト・シングル』という流行語を生んだ中央大学文学部教授の山田昌弘さんだ。
「子供が小さいなら話は別ですが、成人しているにもかかわらず親が謝罪するのは海外では考えられない。欧米では、家族といえども家庭の外では独立した人格であると考えるので、たとえ未成年でも親には法的にも社会的にも責任はないとするのが普通です。ところが日本では、家族は責任を負い合うべきだという家族主義が根強いのです」
ジャーナリストの江川紹子さんも、不祥事を起こした当人の家族への視線の厳しさを指摘する。
「1988年から1989年にかけて起きた東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件では容疑者の父親が、2008年に起きた秋葉原通り魔事件では容疑者の弟が、自殺しています。あのとき社会は、家族に対してはっきりと連帯責任を求めはしなかったけれど、漠然と追い詰めました。容疑者本人は責められて当然ですが、家族はその対象にはならないはず。そうした無用の悲劇を生んだ過去の事例からも学ぶべきだと思います」
※女性セブン2016年7月28日号