ETF(上場投資信託)は個人投資家の資産運用手段として定着し始めている。しかし、インデックス型の投資信託のコストが急速に下がったこともあり、ETFの優位性は失われつつある。加えて、なかなか改善されない点が放置されている。それは、海外の証券取引所に上場している海外ETFに関するものだ。
現在、東京証券取引所に上場しているETFは合計196本。その内、海外ETFは47本ある。ラインナップは豊富で、米国を始め、ユーロ圏、中国、インド、ブラジルほか、さまざまな国の証券取引所に上場する、その国の株価指数に連動するETFが揃っている。
この海外ETFの何が問題なのか。一部の銘柄を除いて国内の残高が少ないため、きちんと株価指数と連動しないケースが頻発しているのだ。大量の売買が行なわれると、価格形成が歪んでしまう、というデメリットが存在する。
海外ETFは、国内に上場しているものではなく、海外の取引所から直接買うという方法もある。最近は、多くの証券会社が、海外ETFを直接購入できるサービスを提供している。しかし、そのサービスには、コストが割高になるなど、別のデメリットが生じる。つまり、現状、海外ETFを資産運用の手段とするにはハードルが高いといえる。
海外ETFは、全世界に5500本以上存在し、連動する指数も実にバリエーションに富んでいる。有望な投資対象も多い。個人だけでなく、世界中の機関投資家の運用手段となっている。低コストで投資ができるようになれば、日本の個人投資家の強力なツールになるだろう。海外ETFの商品性の改善が待たれるところだ。
※マネーポスト2016年夏号