ビジネス

日本だけの文化 本人よりも「ハンコ」が信用される状況

なぜ日本からハンコがなくならないのか?

 役所に書類を出す時も、車や家を買う時も、遺産相続の手続きにも必要な「ハンコ」──。だが、日々の暮らしの中で“ハンコって意味あるの?”と首を傾げたくなる場面は少なくない。都内に住む40代会社員はこう憤る。

「海外留学した娘に送金しようと銀行窓口に行ったが、持っていく印鑑を間違え、行員が照合する端末にかざしては、“この印鑑は違いますね”といわれるのを繰り返し、結局、家と銀行を3往復した。

 普段はATMしか使わないから、どれが銀行印か忘れるし、そもそも“本人が目の前にいるんだから何か他に方法あるだろ!”と思ってしまう」

 本人よりもハンコが信用される──某メーカーで管理職を務める50代男性もそう感じている。

「部下からいちいち“ハンコください”といわれるのが煩わしくて、“右の引き出しの一番手前に入れておくから勝手に押していい”といってある。会社にとって大事なのは私の判断ではなく私のハンコが押してあるか……そんなふうに思えますね」

 企業によっては、“押し方のルール”まで存在する。某メガバンク行員の説明。

「うちの銀行の一部の支店では、稟議書を回す時にハンコの文字が少し左に傾くように押す慣習があります。左側の枠に上司がハンコを押すので、傾けると部下が上司に『お辞儀』しているように見え、“礼儀正しい押し方だ”という理屈です」

 珍妙だが、サラリーマン文化に「ハンコ」が深く根付いている証拠といえよう。

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

関連キーワード

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン