猫を飼っていて困るのが、爪とぎで壁や家具がボロボロになってしまうこと。どうにかしてやめさせることはできないだろうか。国際猫学会ISFM所属、著書に『ネコぺディア-猫のギモンを解決』(秀明出版会)などがある山本宗伸さんが、対応策を教えてくれた。
【相談】
都内の賃貸マンションでひとり暮らしをしています。4才になるメインクーン(メス)が、家中で爪とぎをして困っています。爪とぎ器を用意しても、それには見向きもしません。賃貸なので、これ以上壁が傷むのは避けたいです。家具や壁での爪とぎをやめさせる方法を教えてください。
◆質問者:東京都・猫大好き(33才・公務員)
【回答】
賃貸にお住まいだと、家を傷つけられると困ってしまいますよね。しかし、猫にとって爪とぎは自然な行動で、悪意はありません。
爪とぎをする最大の理由は、爪を鋭く保つため。猫にとって爪は、狩りを成功させる大事な武器です。いつでも獲物を捕まえられるように、手入れをしておく必要があります。猫の爪は、人間とは違い、下から重なるように生えていきます。爪とぎをすることで、上に押し上げられた古い爪を剥がしているのです。
2つ目の理由はマーキング。肉球にある汗腺からフェロモンが分泌され、爪をといだ場所ににおいを残します。また剥がれ落ちた古い爪の存在が、においだけでなく、視覚的にも他の猫に対して縄張りを主張することになるのです。
そして3つ目はストレッチ。起きてすぐや、食事の後に軽く爪とぎをする姿を見たことはありませんか? そういう時はストレッチ代わりに爪とぎをしているのです。爪とぎは猫にとって気分転換にもなるのです。
好ましくない場所での爪とぎをやめさせる方法ですが、まず家にある爪とぎ器が猫にとって最適なものなのかチェックしましょう。猫は爪とぎ器よりも、とぎ心地がよい場所があると、そっちで爪をといでしまいます。爪とぎ器がしっかり固定されているかを確認してください。カリカリするたびに動いては、とぎ心地がよくありません。
猫大好きさんのお宅の場合、大柄なメインクーンちゃんにとって爪とぎ器は小さすぎませんか? 猫はふだんは体を丸めていますが、伸びると意外に大きな動物です。もしかすると、爪とぎ器を置いている位置が低すぎるのかもしれません。猫が立った時に、思う存分伸びてストレッチができる高さがあるか確認しましょう。
また個々の猫にとって好みが違うので、壁に立てかける垂直タイプ以外にも、床に設置する水平タイプの爪とぎ器も用意し、どちらが気に入るのか試してみるのも手です。
さらに、猫ちゃんが嫌がらなければ、ネイルキャップといって爪にカバーをかける方法もあります。どうしても家の柱や家具で爪とぎをしてしまう場合は、かかりつけの動物病院で相談してみましょう。
※女性セブン2016年7月28日号