7月くらいからが旬だという「いちじく」。おいしいいちじくの選び方としては、皮の赤味が濃く、プリッと張っているものがいいという。よい香りが立っていれば完熟している証拠だが、完熟後は日持ちしないので、早めに食べきること。ジャムやシロップ漬けにするのもいい。そんないちじくの楽しみ方を家庭料理研究家の松田美智子さんが解説する。
「子供の頃、実家の庭にいちじくの木があったんですが、あのクセのある香りや風味が苦手で、ほとんど口にしませんでした。おいしさに開眼したのは、仕事で行ったイタリア。ゴルゴンゾーラとはちみつと一緒にいただいて、『なんておいしいの!』と、一瞬にして恋に落ちたんです(笑い)。淡白な味なので、チーズとはちみつもたっぷりと。栗の花など、ちょっと苦みのあるはちみつですと、よりおいしくいただけます」
いちじくは、古くは古代エジプトの壁画に描かれ、旧約聖書にも頻繁に登場する歴史ある果実だ。ちなみに、アダムとイブが体を隠したのもいちじくの葉である。6000年前にはアラビア半島で栽培が始まっていたといわれ、日本へは中国から江戸時代に伝来した。当初は薬用として栽培されたが、次第に食用に用いられるようになった。
食物繊維をはじめ、鉄分、カリウム、カルシウムなどのミネラル分、ビタミン類を豊富にバランスよく含む。近年ではがん細胞を麻痺させる可能性があることや、果汁から抽出した「ベストアルデヒド」のがん抑制効果も研究されている。抗酸化作用が高く、美肌やアンチエイジングにも有効。種子には“植物性エストロゲン”が大量に含まれることも判明しており、更年期の症状の緩和にも期待が。
また、たんぱく質分解酵素の一種、フィシンが含まれるためデザートに最適。胃もたれの予防や改善になる。消化酵素も豊富で糖質や脂質の消化を促進し、ダイエットにも適している。
※女性セブン2016年7月28日号