『日本史有名人の身体測定』(KADOKAWA)の著者で、歴史小説家でありながら現役の整形外科医でもある篠田達明氏は、肖像画や衣服、甲冑、書物などから偉人の体型を推定することに長けている。歴史上の偉人たちは、どんな体型だったのか。同氏が、ドラマでも有名なアノ人の体型を推察した。
江戸時代の平均身長は低くなり157cmほどだ。人気ドラマ『水戸黄門』(TBS系)のモデルとして知られる徳川光圀は、“小さな老爺”という印象が強いが、実は170cm、75kgと、この時代にしては大柄だった。
「古文書に『色白で背が高く、肩幅広く面長』とあるほか、肖像画の衣服などから推定した。ドラマでは大きな助さん、格さんに挟まれる黄門さまですが、実際は3人の中で一番大きかったかもしれない。また並外れた酒豪の食道楽で、明国からの亡命者に教わり、ラーメンや餃子も堪能していたそうです」(篠田氏)
『おくのほそ道』で知られる俳人・松尾芭蕉。全行程約600里(約2400km)を歩いた健脚だが、実際は華奢だったという。
「肖像画の上腕骨などから計算して161cm、47kgとかなり痩せ気味です。弟子たちも『背は高からず低からず』と書いています」(同上)
「生類憐れみの令」で犬公方と呼ばれた五代将軍・徳川綱吉は124cm、40kgしかなかった。将軍が亡くなると等身大の位牌が作られるため、間違いないのだろうが、あまりにも小さすぎる。
「綱吉は『生類憐れみの令』で、江戸の人たちに苛烈な迷惑をかけた。職人が意趣返しとして、わざと小さく位牌を作った可能性もあるとみています」(同上)
※週刊ポスト2016年7月22・29日号