国内

選挙応援で『襟裳岬』歌った森進一氏 公職選挙法抵触か

『襟裳岬』が公職選挙法に抵触か

 真夏の東京都知事選が、事前の予想を上回り、異様な熱気を帯び始めた。「フライング出馬表明」でリードする小池百合子氏(64)と激しく競り合うのは、野党統一候補の鳥越俊太郎氏(76)。集客力では負けてはいない。

 日曜日(17日)。“若者の街”吉祥寺のJR北口ロータリーを年配の聴衆が埋め尽くした。

「私もこんなに人が集まったのを見たのは初めてです」

 鳥越氏が切り出すとドッと沸く。出馬会見では年齢から選挙戦での体調を心配する見方もあったが、声に張りがある。

「安倍政権は閣議決定だけで集団的自衛権行使を容認しました。そして安保法制を強行採決した。どれも公約ではなかった。これは国民に対する騙し討ちです。みなさん、こんな政治を許せないという人は手を挙げてください」

 一斉に手が挙がる。演説のうまさは元キャスターの小池氏にも引けを取らない。

 ところが、18日にはそれが一変。「おばあちゃんの原宿」と呼ばれる巣鴨地蔵通り商店街に登場したものの、鳥越氏は「最後まで戦うつもりであります。ぜひ皆さんご支援ください」と簡単な挨拶をしただけで、40年来の友人という歌手の森進一氏にバトンタッチ。森氏が「今日は歌じゃなくて鳥越さんの応援にやってまいりました」といいながら応援の後には、リクエストに応えて持ち歌である『襟裳岬』のサビの部分を歌った。

 2人合わせて3分ほどの街頭演説に聴衆から「暑い中、長時間待ったのに」という不満があがったが、問題視されているのは襟裳岬の方だ。

 選挙制度や政治資金に詳しい岩井奉信・日大教授は、「プロの歌手が選挙応援で自分の歌を有権者に披露した場合、有権者に対する利益供与とみなされ、公職選挙法の後援団体に関する寄付等の禁止の規定に抵触するとみられる可能性があります」と指摘する。

 有権者を歌手の歌で供応したとみなされかねない、グレーゾーンの応援だったのだ(東京都選管は「何が財産の供与にあたるかの具体的なケースは警察が個別に判断することになる」とコメント)。

※週刊ポスト2016年8月5日号

関連記事

トピックス

逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」に同行された愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、皇室とご自身の将来との間で板挟み「皇室と距離ができればこうした仕打ちがある」という前例になった眞子さんの結婚 将来の選択肢を“せばめようとする外圧”も 
女性セブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
「ピットブル」による咬傷事故が相次いでいる(左・米軍住宅参考画像)
《沖縄で相次ぐピットブル事件》「チェーンを噛みちぎって引きずった痕も…」自治体が狂犬病の予防接種すら把握できない“特殊事情”「米軍関係者の飼い犬だった」 
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルの飛行機でスヤスヤ》佳子さまの“寝顔動画”が拡散…「エコノミークラス」に乗った切実な事情
NEWSポストセブン
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン