現在放送中のドラマ『遺産相続弁護士柿崎真一』(読売テレビ・日本テレビ系)で主演を務める・三上博史はミステリアスな存在である。数多くの映画やドラマ、舞台で活躍し続けているのに、その素顔はベールに包まれている。
「“三上博史”というパブリック・イメージを作らないことが俳優として必要な準備だと、ぼくは思っているんです」
インスタグラムなどのSNSはやらない。できる限りバラエティー番組やトーク番組には出演しないし、出演する場合にはひとつのイメージが定着しないように心がける。
常に作品の世界観を第一に考える三上が現在演じているのは、ひと癖もふた癖もある遺産相続専門弁護士、柿崎真一。
「柿崎は遺産というものを通して、亡くなった人の想いをつなげる人物だと思うんです。死者と、それを取り巻く人々との橋渡しをするのが柿崎。とは言っても決してシリアスなドラマではなくコメディー要素もふんだんに入ってるから、気軽に楽しんでもらえたらいいですね」
コンビを組む新米弁護士を演じる森川葵(21才)とのかけ合いも見どころのひとつだ。
「年齢差はあまり気になりませんね。(俳優としての)キャリアも関係ない。いろいろと演技を工夫してくるので、なにが出てくるのか楽しみ(笑い)」
毎回登場するゲストからも刺激を受けているという。
「個性的なかたばかりなので、みなさんから作品をおもしろくするヒントをたくさんいただいています」
三上といえばかつて、トレンディードラマ俳優としてアイドル的な人気を博したが…。
「自分ではそれほど意識してないんですけどね、当時のことは。でも、そちらの方向へシフトしたのは意識的でした。それまでとは違う作品をやりたかったから」
それまでとは違う作品とは?
「ぼくは寺山修司作品でデビューしたこともあって、20代前半は比較的マニアックな役柄が多かったんです。でも、もっといろいろな作品をみなさんに楽しんでもらいたいと思っていたタイミングで、いわゆるトレンディードラマと出合うことになった」
『君の瞳をタイホする!』、『世界で一番君が好き!』…。バブル景気のなか、ブラウン管の中で三上が演じるカッコいいオトコに、誰もが心をときめかせたものだ。
「そしたら、思いのほかこっちの印象が強くなりすぎちゃって(笑い)、その後は徐々にマニアックな方向に戻したり」
今回は久しぶりにコメディー要素のある作品に出演。
「コメディーは非常にデリケートで難しい分野ですよね。だから、もう一度自分に挑戦してみたかった。まだまだ至らないところだらけで、日々勉強中です」
いつか王道のコメディー作品をやりたいという三上。その準備は、今この時間も彼の中で進んでいる。
撮影■ヤナガワゴーッ!
※女性セブン2016年8月4日号