今年3月、厚生労働省が解熱鎮痛剤「ロキソニン」の「重大な副作用」の項目に、「小腸・大腸の狭窄・閉塞」を追加するように指示したことが大きな話題になった。ロキソニンといえば、薬局でも手軽に購入できる、鎮痛剤の代名詞的存在だ。
頭痛や生理痛の際には手放せないという人も多いだろう。そのロキソニンが、腸に負担をかける可能性があると“警告”されているのだ。秋津医院の院長・秋津壽男さんはこう語る。
「ロキソニンは、効き目が強い半面、副作用が報告されることが多い薬です。のみ続けると、副作用によって、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる人もいます。潰瘍が小腸や大腸にもでき、それによって腸が狭くなり、内容物が詰まってしまう可能性もあるのです」
腸がふさがって腸閉塞となると、最悪の場合、死に至る。さらに、重大な病気の発見が遅れてしまうことがある。池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんも続ける。
「以前、別の医院で解熱鎮痛剤を処方してもらって余ったものを、熱が出たからといって、1日3回1週間のみ続け、熱は下がったものの、だるさがとれないという患者さんが来院したことがあります。診察したところ、ただの発熱ではなく、重症肺炎でした。熱だけ下げても根本的な病気は治療できません。自己判断で解熱鎮痛剤をのみ続けると、重大な病気の発見が遅れてしまうこともあるのです」
つまり、痛みを和らげてくれるロキソニンに頼りたくなることはあっても、長期的に服用を続けないほうがいいというのが最終結論。それは、ロキソニン以外の、ボルタレンやポンタールといった解熱鎮痛剤も同様だ。
「こういった薬は、一時しのぎにはいい薬です。どうしても休めない仕事や子供の学校行事があるときに、一時的に熱を下げたり痛みを和らげたりするなどの使い方には適しています。どんなに多くとも1日1回程度を2~3日続ける限度にしてほしいですね」(大谷さん)
片頭痛対策にロキソニンを服用している人もいるかもしれない。季節の変わり目に増える片頭痛は、痛みやそれに伴う吐き気などで、日常生活に大きく支障をきたすことがあり、病院へ行くとイミグランを処方されることがある。
しかし、イミグランは、長期間使うことで、かえって頭痛を引き起こすという指摘がある。
「薬物乱用頭痛といって症状を悪化させることがあります。イミグランはロキソニンとは別の系統の薬で、片頭痛に極めて有効なため、頼ってしまう人が多いのも事実です。多くても1か月に10錠以内にしてください」(大谷さん)
※女性セブン2016年8月4日号