「これ? 伊達めがねじゃありませんよ。きちんと度が入っているんです。視力が悪いですからね」とシンプルな黒フレームのめがねを触りながら丁寧に話してくれたのは、TBS系朝の情報番組『白熱ライブ ビビット』でおなじみのTBS井上貴博アナウンサー(31才)。黒ブチめがねへのイメチェンで、お茶の間の認知度が一気にあがった井上アナのこの日の私服は、淡いピンクのシャツでソフトな印象だが、カメラを向けるとガチガチに緊張しているのがこちらにも伝わるほど。クールなイメージで“TBSの顔”として活躍する彼の素顔とは――。
『白熱ライブ ビビット』に出演中の井上貴博アナは、さわやかな笑顔でテキパキとコーナーを仕切る姿とは裏腹に、本誌カメラの前を歩く時は表情が硬く早足。笑顔をリクエストすると、「うっ…」と、顔だけでなく首までみるみる赤く染まってしまう。聞けばカメラが苦手なのだとか。
「テレビでもしゃべっていない時に写るのは苦手です。スタジオ全体が入る画面ではぼくを切ってくださいとお願いするんですが、そう頼むとスタッフはわざと入れてくるんですよ(笑い)」(井上アナ・以下「」内同)
周囲にイジられる愛されキャラ。カメラが苦手と聞くと奥手なのかと勘ぐってしまうが、そういうわけではないらしい。むしろ前へ前へと斬り込んでいくタイプ。以前に担当していた『朝ズバッ!』時代から、大御所のみのもんたやゲスト陣にも臆せず自分の意見を発してきた。
「番組はたくさんのスタッフの想いが集まって、成り立っている。アナウンサーとしてカメラの前に立つ以上、そのスタッフの想いを背負っているわけです。だからこそ相手がどんなに大御所であろうと、絶対に負けちゃいけない。そこで迎合して流れたら、スタッフにも視聴者のかたにも申し訳ないですから。覚悟を大切にしています」
そのまっすぐさゆえに「若いのに生意気だ」と評されてしまうことも、少なからずある。
「ぼくは視聴者のかたからの声をチェックすることを日課にしているのですが、時には『ふざけるな』といったご意見も寄せられます。それでも、ご指摘いただけることは凄くありがたい。心が折れそうな時にはお褒めの言葉をお守り代わりにしますが、自分を成長させてくれるのはお叱りの言葉。ダメ出しが多いほど燃えます。番組で失敗しても酒などに逃げず、とことん失敗と向き合う。失敗は宝。社会人になってから初めて、自分は“ドM”なんだと悟りました(笑い)」
男性スターアナには古舘伊知郎、TBS・OBの久米宏、そして先輩である安住紳一郎といった偉大なる先達がいる。
「アナウンサーを名乗るからにはやはり、諸先輩がたを追い越したい。それには努力あるのみです。がむしゃらに、貪欲に、ぼくは皆さんの何十倍やる必要がある。精進します」
『ビビット』では、出演者であり、後輩の林みなほアナが結婚したばかり。結婚発表の放送では、「ついに井上か!?」と茶化されていたが――。
「いやいや、まだまだ結婚している場合じゃないです! それに、結婚すると仕事の熱がどうしても削がれるんじゃないかと不安で(苦笑)」
彼にはいつ、ビビッとくる婚期が訪れるだろうか。
撮影■平野哲郎
※女性セブン2016年8月4日号