天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたと報じられたが、それに付随して、さまざまな疑問が生じてくる。もし「生前退位」を実施された場合、両陛下のお立場はどうなるのだろうか?
現行の皇室典範では、皇位の継承は崩御によってのみ行われるとされているため、退位後のお立場に規定はない。
「皇族でいらっしゃることには変わりない可能性が高いですが、もしかしたら、皇籍を離脱されて一般人として過ごされるかもしれません。また、かつては退位後の天皇を太上天皇(上皇)と呼びましたが、呼称についても新たな法整備が必要です。皇后は皇太后と呼称が変わりますが、これも天皇が崩御した場合にのみ使われますから、同様に議論がなされるでしょう」(皇室ジャーナリスト)
退位後の両陛下はどこで暮らされるのか。両陛下はしばらくは現在のお住まいである皇居・吹上御所で生活され、新天皇である皇太子さまは東宮御所から宮殿に通われ執務にあたられると考えられている。
「毎年の静養先である軽井沢や葉山御用邸に移り住まれるという噂や、京都御所への引っ越し説を上げる声もあります。皇太子一家は空いた吹上御所か、あるいは同じ皇居内にある大宮御所に移られると考えられます」(前出・皇室ジャーナリスト)
お姿を拝見する機会はあるのだろうか?
「皇族としての公務はほとんどなくなると考えられます。ただ、両陛下がライフワークにされている先の大戦の関連施設への訪問や災害被災地への慰問、またチャリティーといった活動にはこれまで通り積極的に参加されると思います」(前出・皇室ジャーナリスト)
元号については、元号法には、《皇位の継承があった場合に限り改める》と記載されている。
「皇太子さまが新天皇に即位された段階で平成の世は終わり、新たな元号に変わることになります」(別の皇室ジャーナリスト)
元号決定のプロセスは、3人の漢学者が3つの案を首相に答申し、天皇の裁可を得て官房長官が発表する。
「皇太子」は誰がなるのかについては、現在の皇太子さまには男子がいないため、「皇太子」は不在になる。
「秋篠宮さまが、皇太子さまが担われている公務の多くを引き継がれることになるでしょうが、現在の皇室典範には『皇太弟』の規定がないため、予算や職員数の大きな差を埋める新たなルールが必要になるでしょう」(前出・別の皇室ジャーナリスト)
撮影■雑誌協会代表取材
※女性セブン2016年8月4日号