物言わぬペットのとっさのトラブルに、どう対処すればいいのか、悩んだ経験がある人は多いのではないだろうか。
「5才のゴールデン・レトリバー(♂)を連れてキャンプに行ったのですが、足をブヨに刺されてしまいました。家に帰る頃には、腫れて足を引きずるほどに。病院へ連れて行きましたが、完治に2週間もかかりました。夏の虫対策や刺された時の応急処置を教えてください」(広島県・ありさ・39才主婦)
この悩みに、小学館ジュニア文庫『動物たちのお医者さん』の構成などがある白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんが答えてくれた。
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虫の中でも特に、蚊やノミ、マダニは犬の健康を大きく害する可能性があります。ですから、ペットも虫対策が大切です。愛犬にも安心して使える、天然素材の虫よけアロマスプレーなどもあるので、お出かけの際は活用し、飼い主が守ってあげてください。
お出かけの際だけでなく、虫対策で最も気をつけたいのが「フィラリア症」です。フィラリア症とは、蚊を介して犬の心臓に寄生虫が住みつく感染症です。フィラリア症は毎月1度の投薬で予防できるので、蚊が発生する5~11月くらいまでは、飼い主の責任として必ず行ってください。
蚊の発生時期は地域ごとに異なりますから、投薬期間はかかりつけの獣医師と相談して決めるのがおすすめです。
投薬だけでなく、日常生活でも注意が必要。蚊は水が溜まった場所に繁殖するので、バケツなどを外に出しっぱなしにしないようにしましょう。
また、ノミはアレルギー性皮膚炎や、瓜実条虫という寄生虫感染症を起こすことがあり、マダニはバベシア症という、犬の赤血球を壊して貧血にする感染症を運ぶこともわかっています。
ノミやマダニの予防薬にはさまざまなタイプがあり、月に1度、皮膚に直接つける外用薬から、最近では3か月に1度のませるだけでいい薬まで出ています。いずれも動物病院で処方してくれるので、暑くなる前に相談を。まだ、これらの予防薬を手に入れていない人は、今からでも遅くありません。すぐに動物病院へ。
どんなに予防していても、絶対に刺されないという保証はありませんので、刺されても重症化しないよう、薬で予防することが大事なのです。
では、蜂やブヨなどはどう対処すべきか。残念ながら、洋服などを着せて防ぐ方法しかありません。
もし刺されても、絶対に患部を刺激してはいけません。冷やすのも×。アナフィラキシーショックなどを起こす可能性があるため、すぐに動物病院でアレルギー治療などを行ってください。キャンプなど、虫が多い場所に遊びに行く際は、近くの動物病院を調べておくと安心です。
※女性セブン2016年8月4日号