日本のサラリーマンの平均年収は415万円(2014年「民間給与実態統計調査」)。世帯別では、平均529万円の中、年収1000万円以上の世帯も全国で約1割(2014年「国民生活基礎調査」)に達する。その「お金持ち」世帯が多く住むエリアを調べると、首都圏だけでなく全国各地の意外な地域に分散していることがわかった。
総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」を基に、年収1000万円以上の世帯が市区町村に占める割合を色の濃淡で示した地図がある。システムエンジニアの清水正行氏が制作した「世帯の年間収入マップ」をベースに作図したものだ。
東京23区と政令市を除いた「地方都市ベスト58」で目を引くのは、岐阜県大野町(年収1000万円超世帯が16%)だ。富裕層が多く住むことで知られる兵庫県芦屋市と並んでトップとなった。
大野町は10年前、町内を走っていた鉄道が廃線となり、現在の公共交通機関はバスのみ。人口2万3000人の小さな町がなぜ、芦屋市や東京都世田谷区(同16%)並みに「お金持ち」が多いのか。カギは「働き手の多さ」だ。
「都会ではないが過疎地でもなく、個人の敷地が広く、敷地内の母屋と離れで3世代が同居するケースが多い。単身世帯が少なく、平均世帯人員(3.2人)は県内3位です。夫婦共働きに加えて祖父母や孫まで働くことで、世帯年収を押し上げていると思われます」(大野町政策財政課)
世帯収入のプラスとなるのが「特産品」だ。大野町の特産「富有柿」の昨年の販売金額は約5.6億円。柿農家は兼業が多く、単純計算で1世帯あたり約100万円の副収入になる。