山梨県ではすでに最高気温37.5℃を記録し、全国的には7月20日の時点で1万3000人以上が熱中症によって病院に運ばれている。NASAの気象学者は「今年は世界的に史上最悪の猛暑になる」という。こんな状況では熱中症に陥りやすい子供や高齢者、室内で過ごすペットにとって、エアコンはまさに“命綱”だ。
しかし、やみくもにつければいいというわけではない。使い方によっては余計な電気代がかかったり、体調不良を起こしたり、不快に感じる場合さえある。リモコンの操作ひとつで心地よく、お得に夏を乗り切る方法を紹介しよう。
◆温度を1℃上げて820円節約
節約アドバイザーの丸山晴美さんは、設定温度の重要性を語る。
「夏(9月21日までの112日間)にエアコンの設定温度を1℃上げて、1日9時間稼働させた場合、820円の節約ができます。いかに温度を下げずに、心地よく過ごすかがカギです」
◆1℃下げずに風量「強」で1500円お得
もし、暑いと感じたら温度を下げるより風向きを変えて体に風を当てたり、風量を強めるといいと言うのは、家電コーディネーターの戸井田園子さんだ。
「人の体は、風が当たることで涼しいと感じるもの。風向きを変えるぐらいでは、電気代はほとんどかかりません。暑い時、温度を1℃下げるのではなく、風量を『強』にすれば10%近い節電が期待できます」
本誌・女性セブン編集部が試算したところによるとエアコンの温度設定が27℃だとすると、ひと夏で約1500円の節約に。
◆扇風機との併用で快適かつ350円お得
27℃設定にしたエアコンのみの使用と、28℃設定のエアコンと扇風機を併用した場合、体感温度はほぼ変わらないが、電気代はひと夏で約350円の違いが出る。
「暑いと感じたら扇風機を床に向けてスイッチオン。床にたまった“冷気だまり”を吹き上げてくれるだけでなく、冷たい風が体に当たるので涼しくて気持ちがいい。一般的な扇風機は弱であれば1日9時間、フル稼働させたとしても月約310円の電気代です」(丸山さん)
今年特に人気なのが、『サーキュレーター』。小型の扇風機のような形で、直線的な風を起こし、扇風機と同じく、エアコンと併用すると快適かつ便利な家電だ。冷気の理想的な流れは、天井を進み、壁を伝って床に落ち、床を進んで壁を上り吹き出し口に返るというもの。その理想の循環をサポートするスグレモノだが、新しく購入する場合は注意が必要だ。
「エアコンは設定温度を1℃上げると消費電力が約10%下がると試算されています。仮に安定時に300~400Wで稼働するエアコンなら、1℃上げると30~40W削減できる計算になります」(戸井田さん)
だから、サーキュレーターを使用する場合、30~40W以下の消費電力に抑えないと併用する意味がない。
「注目すべきはモーター。『ACモーター』を採用している機種は使用電力が30~40Wなのに対し、『DCモーター』はたった3~4W。節電につながるのは圧倒的に後者です」(戸井田さん)
※女性セブン2016年8月11日号