国内

お金持ちの街「白岡NT」 30年かけた街作りが奏功

「お金持ちの街」の特徴とは(写真:アフロ)

 日本の世帯別年収の平均は529万円だが、年収1000万円以上の世帯も全国で約1割(2014年「国民生活基礎調査」)に達する。「お金持ち」世帯が多く住むエリアを調べると、意外な地域に分散していることがわかった。

 埼玉県にあるJR新白岡駅の東口から歩みを進めると、緑鮮やかな美しい街並みが広がる。数々のドラマやCMのロケ地となった魅力あふれる住宅街である。

 ここは、埼玉県白岡市(年収1000万円以上の世帯の割合9%)が誇る「白岡ニュータウン」。白岡市とデベロッパーの総合地所が協力し、30年かけて作り上げた「お金持ちの街」だ。1987年の開発開始から1200以上の区画に及ぶ大規模なニュータウン開発が行われている。

 特筆すべきは、街の景観を維持するため定められた厳しいルールである。

「住宅の敷地面積は50坪以上と定められ、隣家と最低でも2m離れています。敷地の20%以上に緑化が義務づけられ、低木と生け垣を組み合わせた2段植栽を採用しています。おかげで家並みは広々として、街のいたるところに緑があります」(総合地所担当者)

 長い年月をかけた街づくりにより、通常のニュータウンのように同世代が一斉に入居することを避けることができた。おかげで幅広い世代の入居者が集う街では、高齢者が子供を1時間700円程度で預かる市の「ファミリーサポート制度」を隣近所で利用できる上、自治会による庭の手入れ補助など、住民サービスが充実している。

「美しい景観や住民サービスでニュータウンの価値が上がり、医師や弁護士など高収入世帯が多く入居しています。駅に近く、都心へのアクセスも良好で、東京都の職員など公務員もいます。フルタイムで働くお母さんも多く、世帯収入を押し上げています」(同前)

 2015年の上野東京ラインの開通により、白岡ニュータウンは都心へのアクセスが大幅に改善された。他にも関東近郊には新アクセスの開通で利便性が増し、新たなベッドタウンとして注目される街が多い。

 そのひとつが茨城県守谷市(同11%)だ。

「2005年につくばエクスプレスが開業し、守谷駅から秋葉原駅まで約30分になりました。守谷市は緑が多く子育てに適しており、多くの高所得世帯が移り住んでいます」(守谷市企画課)

 また、守谷市と同様に千葉県印西市(同11%)、白井市(同10%)はいずれも2010年の成田スカイアクセス開業が追い風になった。

※SAPIO2016年8月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン