椎間板ヘルニアに悩む患者は、国内に100万人以上いるといわれている。椎間板とは背骨と背骨の間にあるクッションの働きをする組織。その椎間板のなかにある髄核が外にはみ出すことで神経を圧迫、腰の痛みや足の痺れを引き起こす状態を椎間板ヘルニアという。
これまで治療法は、痛みを薬などで抑える「保存療法」、ストレッチなどの「理学療法」、髄核の突出を除去する「外科手術」が一般的だった。腰痛治療の権威である『かただ整形外科』院長の片田重彦氏は、「新たな治療法」の有効性を語る。
「私の認識では椎間板ヘルニアだと診断された人のうち、9割以上が誤診の可能性が高い。厳密に言えば、髄核は突出しているが、それが腰痛の原因ではない。他の病院でヘルニアだと言われた患者を触診すると、そのほとんどが仙腸関節に異常をきたしていた。ここを修正してあげることで、“長年悩んでいたヘルニアが治った”という人が続出しているのです。その治療法として有効なのが、『AKA─博田法』です」
仙腸関節とは、骨盤の仙骨と腸骨の間にある関節で、片田氏によれば、この仙腸関節にひっかかりや炎症が起きると腰部に痛みが発生する。
「『AKA─博田法』は、医師の指で仙腸関節の周りにあるわずかな隙間を広げてひっかかりを外し、可動域を復活させる治療法です。それほど痛みが強くない人ならば、1回5分程度の治療で痛みがなくなる。慢性的な痛みを抱える人でも、月に1回の治療を3回繰り返せば、痛みはほとんどなくなるはずです」(同前)
仙腸関節は自分で触って動かすことができないため、専門医の施術が必要だ。片田氏の病院で同治療を受けるには半年以上の待ち時間を要するが、現在、国内でこの施術ができる専門医は110人以上いるという。
「椎間板ヘルニアの誤診が多いのは、MRIによる画像診断に頼り切る“画像信仰”が蔓延しているからです。ヘルニアが慢性化している人は、腰痛の原因が“仙腸関節など他にあるのでは?”と疑ってほしい」(同前)
※週刊ポスト2016年8月5日号