大ヒット公開中の映画『ファインディング・ドリー』。前作『ファインディング・ニモ』に続いて主人公・ドリーの声を演じた室井滋さんと、今回、海洋生物監修を務めたさかなクン。このふたりのスペシャル対談が実現! 室井さんはさかなクンに、同作に登場した海洋生物に関する素朴な疑問を投げかけた。
室井:タコのハンクが色模様を変えて猫や岩などいろいろなものに擬態するのは本当?
さかなクン:もちろんでギョざいます! タコの仲間は古くから“海の忍者”とも呼ばれるくらいに変身上手! 岩やサンゴ、海藻はもちろん、毒を持つウミヘビ類やイソギンチャク類、ミノカサゴ類に変身するタコちゃんもいます。
室井:すごい! タコはどうしてそんな動きができるの?
さかなクン:軟体動物だから体が柔らかいんです。狭い隙間にも入れるし、岩の上では岩そっくりに化けられます。“イワ”感なく(笑い)。
室井:どうやって!?
さかなクン:中の筋肉をギュッと縮ませると、その分皮膚がたるみます。そのたるんだところで岩のようなぼこぼこした突起を出すんです。
室井:色も上手に変えるんですね。
さかなクン:はい! 皮膚と筋肉の間には色素胞といういろいろな色の詰まった袋が無数にあります。皮膚をたるませると隙間ができて、そこに色素胞が広がります。逆に筋肉を広げると狭くなるから縮まります。そうして伸縮することで、色や模様を変化させることが知られています。
室井:タコって宇宙人じゃないかって、私思ってるの。すごい特殊能力でしょ! ドリーはそんなハンクのことを、ぶっきらぼうだけど自分を助けてくれるから、ちょっと好きになっちゃったんじゃないかと思いました。ちなみにタコはどうやって恋愛するの?
さかなクン:とってもおとなしいんです。イカちゃんは互いに足(腕)を絡み合わせて激しい恋愛をするんですが、マダコちゃんでは、雄が雌に静かに近づいて、特別な1本の足(交接腕)から精莢という精子を包むカプセルをそ~っと渡して、終わり。
室井:それって気持ちよかったりするのかしらね。カプセルを渡す瞬間、凄まじい快楽があるとか…。
さかなクン:タコちゃんに聞いてみないとわかりません…。実はタコちゃん、IQも高いんです。どのくらい頭がいいかというと、実験によると、学習して一度覚えたことはちゃんと記憶します。危険な目に遭ったとき、それを覚えておかないと、次は食べられちゃうかもしれませんから。IQの高いタコさんが集まって会議するようになったら、海を支配しちゃうかもしれませんネ!! でも、悲しいことにタコさんは…。
室井:協調性がないの?
さかなクン:はい。ハンクさんのように一匹狼的なんです。
室井:さかなクンは本当にタコに詳しいのね。魚に興味を持ったきっかけも、実はタコだったそうですね。
さかなクン:はい! 8才のとき、友達が描いたタコの落書きを見て「こんな生き物がいるんだ、面白い!」と。以来、夢中で調べて描くようになって、お魚にもどんどん興味を持ちました。その原点であるタコさんが、劇中でドリーちゃんと友情を育んでいくシーンは超感動します!
※女性セブン2016年8月11日号